物流「2024年問題」政府の対策は遅すぎる! よみがえる90年代以降“規制緩和ブーム”の悪夢、荷主の不当要求は本当に改善されるのか

キーワード :
,
3月31日、岸田首相は「我が国の物流の革新に関する閣僚会議」を開催し、物流政策パッケージの取りまとめを指示した。規制まで残り1年。対応が遅すぎるのではないか。

ペナルティーなしに改善は進まない

「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」の資料(画像:内閣官房)
「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」の資料(画像:内閣官房)

 以上のような施策の方向性は筆者も異論はないし、早期の具現化を期待したいところだ。ただし、今回導入されるであろう施策が実効性を挙げられるか、言い換えれば、

「ドライバーの労働環境改善に直結するか」

という観点で見ると、やや懐疑的にならざるを得ない。

 その理由は単純だ。どのような規制・ルールを導入するにせよ、相応のペナルティーなしに実効性を挙げるのは難しいということだ。

 例えば物流改善の計画書作成を義務づけることで、確かに、優良な荷主企業は現場の改革を進めるだろう。ただし問題は、残念ながら世の中はそのような

「優良企業ばかりではない」

ということだ。

 トラックドライバーは、この瞬間にも荷主の不条理な要求により、長時間待機や「作業協力」という美名のもとでタダ働きをさせられている。そのような荷主企業が新たな規制に対して心を入れ替えて従うか、というと疑問が残る。どんな規制にも抜け道はあるわけで、問題のある荷主が唯々諾々と従うとは想像しにくい。

 筆者としても今回の政策を否定するわけではないが、このような物流の現状をありのまま受け止めるならば、新たに手間のかかる手続きを荷主に課す前にまず、

「日々生じている荷主の不当要求」

を拾い上げ、不法なものには実効性のあるペナルティーを課すことができる仕組みを作るべきだと感じられる。

 ちなみに、米国ではトラックドライバーを対象に「強制禁止規則」というルールが導入されている。この制度では、ドライバーが苦情を申し立てるウェブサイトを連邦政府が用意しており、そのうちで不当なケースでは強制力のある措置も行われているのである。

 対するに日本の場合、日々生じている問題を行政が拾い上げる仕組みもなく、ドライバーがとれる手段としては、

「グーグルマップ上のコメント欄に苦情を書き込む」

くらいしかない。これが残念ながら、日本のドライバーの置かれた現状である。

全てのコメントを見る