物流「2024年問題」政府の対策は遅すぎる! よみがえる90年代以降“規制緩和ブーム”の悪夢、荷主の不当要求は本当に改善されるのか
3月31日、岸田首相は「我が国の物流の革新に関する閣僚会議」を開催し、物流政策パッケージの取りまとめを指示した。規制まで残り1年。対応が遅すぎるのではないか。
荷主への対策がポイント

さて、目下の注目点は6月に出てくるという政策パッケージの内容だが、実のところ関連する施策が関係省庁の検討会のもとで、議論が進んでいる。内容はやや流動的であるものの、関係者内での議論はあらかた煮詰まった段階だと予想される。
では、その肝心の施策の中身は何かということだが、目玉となるのは
「荷主・物流事業者間等の商慣行の見直し」
である。冒頭の閣僚会議資料の筆頭に挙げられているもこの項目である。
なお、この文言だけだと意味がわかりにくいが、商慣行というフレーズから想像できるとおり、物流のさまざまな問題のうちで「輸送条件」など、荷主が関連する問題を主軸に取り組むということである。具体的には荷主等を対象に「行動変容を促すような」法的な仕組みを導入することが、関係者が想定している議論の出口である。
もちろん、このような荷主対策はそれほど目新しいアイデアではない。これまでの物流施策でも、荷主対策には力が入れられており、違法運行を強制する悪質な荷主に改善を求めるような制度も、既に導入されている。
ただし、これまでの制度は荷主への強制力が弱いことが弱点で、実効性が伴っていない印象が拭えなかった。そこで今回はこれまでの反省を踏まえ、より規制的な措置を導入することが検討されている。具体的な方向性はまだ流動的だが、荷主に
「物流生産性向上の計画書提出を義務づける」
といった案が提示されている。
今回のもうひとつの重要ポイントは会議資料でも明示されているように、荷受け側である着荷主が検討のスコープに入っているということだ。これまでの荷主対策は主として発荷主が対象だったが、輸送条件を決めているのは
「買い手である着荷主」
である。その着荷主への対策を打ち出しているのも今回の特徴だといえる。