新型プリウスはなぜ大ヒットしたのか? 衝撃的「デザイン変化」だけじゃない、3つの深意とは

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新型プリウスは2023年1月の発売開始以来、好調なセールスを重ねている。価格帯は従来の200万円台前半からアップし、新型では200万円台後半からのスタートである。

デザインだけでないヒットの理由

新型「プリウス」(画像:トヨタ自動車)
新型「プリウス」(画像:トヨタ自動車)

 新型プリウスは、このようにその衝撃的なデザイン変化に話題が行きがちだ。しかし、冷静に考えて見れば今回のヒットには、デザイン以外にも理由が三つほどあると思われる。

 第一の理由は、ガソリン価格が高騰するなか、相変わらずうれしいトップクラスの低燃費である。メーカーの協力を得て195/50/19といった「大口径、超扁平(へんぺい)ながらやや細い」といった新規格のタイヤを装着するなど、燃費性能を重視する思想に抜かりはない。

 実は絶対的な燃費ということでいえば、1.8Lハイブリッドの先代プリウスが優れていた。しかし、新型プリウスも多くの小型ハイブリッド車同様にカタログ値では30km/L前後、もちろんレギュラーガソリンになるので財布に優しいのは、すぐにわかる。輸入車に多く見られるマイルドハイブリッドがカタログ値では、ほとんどが20km/L以下であるのとは対照的だ。

 タンク容量は控えめな43L。だが、実用燃費20km/L程度とすれば、走行距離が月間800kmに満たない平均的なドライバーであれば、月に1回程度の給油で事足りる計算だ。

 今ひとつの理由は、拡大するサイズの中で横幅を1780mmに収めたことだ。長くなったホイルベースにより大人4人が快適に過ごせる空間を確保しながらも、この車幅であれば、駐車場や狭い道でもあまり気を使わずに済むのである。

 輸入車の場合はコンパクトといわれるミニやBMW1シリーズでも1800mmスタートであり、5シリーズなどのEセグメントになるといずれも1850mm以上となって、住宅街の狭い道や街中の立体駐車場の利用に神経質にならざるを得ない。