新型プリウスはなぜ大ヒットしたのか? 衝撃的「デザイン変化」だけじゃない、3つの深意とは

キーワード :
, ,
新型プリウスは2023年1月の発売開始以来、好調なセールスを重ねている。価格帯は従来の200万円台前半からアップし、新型では200万円台後半からのスタートである。

試乗の感想

新型「プリウス」(画像:トヨタ自動車)
新型「プリウス」(画像:トヨタ自動車)

 試乗車はZグレードで、販売価格は370万円だ。実際の乗り出しには経費を含め400万円超が必要となり、国産車ではかなりの高価格帯だ。しかし実車を目の前にすると、その価格に見合うスポーツカーのような低いデザインの新型プリウスには、まばゆいばかりの赤がよく似合っている。

 前席は、普段スポーツタイプ多目的車(SUV)に乗っている筆者からしても、窮屈なイメージは皆無である。そして驚いたのは、身長176cmの筆者が座った前席シートポジションのまま、後席に座ると両足の膝の前には十分なゆとりがあることだ。

 もちろん足を組めるほどではないが、天井高も含め後席も圧迫される感じは一切ない。つまり低いデザインでスポーツカーのような新型プリウスは大人4人を乗せての快適なドライブに、しっかりと対応できる車に仕上がっているのだ。

 そしてZグレードになると、目に見える部分のほとんどに合皮の内装が用いられており、400万近くの価格帯であることを納得させられる演出に満ちている。トヨタが「ディスプレイオーディオ」と呼ぶ大画面のナビも、使い勝手が良さそうだ。

 試乗した印象では通常の2Lハイブリッドモデルの動力性能は必要にして十分なものだった。もし、さらなる性能を求めるなら100万円近い追加を払ってプラグインハイブリッド車(PHEV)にすれば、そのフォームにふさわしいスポーツカーといえるパフォーマンスを手に入れることができるだろう。

 補助金が認められている場合は、両モデルの価格差は縮まり、この3月のPHEV発売に関しては事前抽選が行われるほどの人気である。

 試乗を終え、車から降りて斜め後方から眺めてみる。後席ドアは、量産車としてはアルファロメオが早くに採用した、Cピラーとドアノブを一体化したデザインとなっている。この辺りもリアドアからリアフェンダーの膨らみへの連続した面の美しさを損なわないノウハウであり、デザイナーの関わりを感じさせる部分である。

 望むべくもないが、アルファロメオのエンブレムが付いていたら、世界中の車好きが注目するのではないかと思われる、驚くほど完成されたデザインだ。

全てのコメントを見る