120km/hで走っても捕まらない! 高速道路「最高速度」の一部引き上げ、その素晴らしき効果と苦悶の課題とは
50年以上続いてきた100km/h制限
高速道路の最高速度引き上げが、一部路線で限定的とはいえ始まっている。従来の高速道路の最高速度は100km/hだったが、速度の引き上げによって110~120km/hとなった。
運用開始から数年が経過した区間もあり、ドライバーにはおおむね好評のようである。そうした「最高速度引き上げ区間」の新たな課題は何か、今後はそうした区間が増えていくのか、それによる経済面の効果はいかほどのものか、などについて触れていきたい。
道交法と道路交通施行令によって定められている高速道路の法定速度は、最高時速100km、最低時速50kmで、区間や車種、天候などによって適宜決められる。「高速道路の最高速度は100km/h」のルールは、日本初の高速道路が開通した1963(昭和38)年に制定されたとのことで、実に50年以上このルールでやってきたわけである。
しかしさすがに、時代が変われば道路の状況や車の性能、交通量など、あらゆることが変化する。これまでも、一般道の速度規制見直しがたびたび行われ、2000(平成12)年には、軽自動車と自動二輪車(バイク)の高速道路での最高速度が80 km/hから100km/hに引き上げられるなど、速度規制に関してさまざまな取り組みが行われてきた。そしてついに2020年、交通規制基準が改定され、規制速度の最大値が、条件を満たせば「時速120km可」となったのである。
2017年末には新東名の一部区間、東北道の一部区間で試験的に最高制限速度が110km/hに引き上げられ、次に120km/hの試験運用を開始。おおむね好評かつ、事故件数も大きな変化はなかったということで、120km/hが正式な速度制限として採用される運びとなった。以上が、やや堅苦しい内容になってしまったが、国内の高速道路における最高速度120km/h採用までの流れである。