120km/hで走っても捕まらない! 高速道路「最高速度」の一部引き上げ、その素晴らしき効果と苦悶の課題とは
高速道路の最高速度引き上げが、一部路線で限定的とはいえ始まっている。その効果と課題を解説する。
実勢速度、変わらず

筆者(武藤弘樹、フリーライター)も、東関道の110km/h区間をよく利用するのだが、快適である。それまでの制限だった100km/hから10km/hがプラスされただけだが、これがドライバーの気持ちをだいぶ変える。若かりし頃一度、スピード違反で捕まって何万円という反則金を払って以降、厳重に制限速度を守るようになった筆者にとって、その区間は110km/hのスピードが体験できる貴重なゾーンであり、その区間に差し掛かるのを毎度楽しみにするようになった。
ただし筆者のように、実際に10km/h分加速して楽しもうとする人は多くないようである。警察庁の資料によると、東北道の制限速度引き上げ試行区間において、実際に通行していた車の速度の平均(実勢速度)を1年間ずつモニターしたところ、次の通りだったという。
・最高速度100km/h時:上り112.0km/h、下り114.2km/h
・最高速度110km/h時:上り110.7km/h、下り113.6km/h
・最高速度120km/h時:上り111.9km/h、下り114.3km/h
最高速度が変わっても実勢速度はあまり変わらないという結果になった。とはいえ、最高速度の引き上げがドライバーたちに歓迎されているのは事実のようである。
また、先述したように、最高速度が上がったからといって事故が顕著に増加していないという点も、110~120km/h採用区間に共通して確認できるポイントだった。