止まらぬ地方の人口減少! ミカン農家が感じた、打開のカギは「地域人材」「交通網」という現実

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人口減少が続く日本で、特に深刻なのは地方の農村部だ。その危機を救う存在として期待される「関係人口」について、解説する。

普通の旅行では体験できない価値

筆者宅での「おてつたび」の様子(画像:筒井永英)
筆者宅での「おてつたび」の様子(画像:筒井永英)

 求人するからには、どんな人に来てもらいたいかを考えなければならない。わが家は春休み中の大学生をターゲットとすることにした。

 大学がない天草では、18歳になると多くの若者が出ていく。作業の面で若い人の方がいいこともあるが、それ以外の目的もあった。

 それはわが家の2人の子どものためだ。普段、子どもたちが接する大人は、親と学校の先生、そして近所の高齢者に限られている。親でも先生でもないフラットな関係の他者と関わる機会を持つことができれば、子どもにとっていい影響があると考えた。

 また、旅行のついでに仕事を手伝ってくれる若者なら、社会人になったとき、将来家庭を持ったときに再訪してくれるかもしれない。

 来てもらうには泊まる場所も必要だが、農家民宿を営むわが家には来客専用の部屋がある。泊まり込みで来る人なら、深いコミュニケーションもできるのではと期待した。

 募集を始めるとすぐに応募があった。1月は神戸と奈良の学生を迎えたし、2月は東京からの学生を予定している。これまでに来た2人はよく働いてくれた。初めてのことも多かったはずだが、真面目に丁寧に対応してくれたと感じている。

 期待以上によかったのは、3食を共にしたことだ。住み込みの効果は大きく、たくさん話ができた。普通の旅行ではできない体験ができたと大学生も感じてくれたようだ。

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