国際線「ファーストクラス」が次々と廃止されるワケ それに抗うシンガポール航空の挑戦とは

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ファーストクラスを近年廃止する航空会社も出てきている一方、長く運用する航空会社も多い。そのひとつが、シンガポール航空だ。

ファーストクラスには「割引運賃」が基本存在しない

シンガポール航空が日本線でも運航するボーイング777型機。奥はタイ国際航空(画像:シカマアキ)
シンガポール航空が日本線でも運航するボーイング777型機。奥はタイ国際航空(画像:シカマアキ)

 飛行機の国際線は一般的に、「ファーストクラス」「ビジネスクラス」「エコノミークラス」などの搭乗クラスにわかれている。そのなかでも、ファーストクラスはどの航空会社にとっても最上であり、運賃も非常に高く、基本的に割引運賃もない。

 そのファーストクラスを近年廃止する航空会社も出てきている一方、長く運用する航空会社も多い。そのひとつが、シンガポール航空だ。

 シンガポール航空はシンガポール・チャンギ空港を拠点(ハブ)とし、世界中に路線ネットワークを持つ。利用顧客満足度も高く、各種ランキングでは常に上位に入る航空会社のひとつだ。日本路線では羽田や成田、大阪などに就航している。

「京懐石」の機内食提供も

シンガポール航空のファーストクラス機内食「京懐石」二の膳(画像:シカマアキ)
シンガポール航空のファーストクラス機内食「京懐石」二の膳(画像:シカマアキ)

 シンガポール航空は2023年1月、ファーストクラス向け機内食「京懐石」を刷新。同社では1999(平成11)年から日本発着のファーストクラスで和食を提供し、利用客から高い評価を受けている。

 この京懐石は、京都・東山のミシュラン3つ星レストラン「菊乃井」がプロデュース。東京発シンガポール行きの冬メニューでは、

・炙りとろ
・鯛と人参の巻物
・和牛の醤油風味
・五穀米
・大根のお吸い物
・黒蜜と苺を添えたわらび餅

などを提供する。別メニューで、シンガポール発東京行き、東京発ロサンゼルス行きのファーストクラスでも味わえる。

 シンガポール航空の機内食に関わる「菊乃井」の主人・村田吉弘氏によると、シンガポール航空が23年前に初めて本格的な和食を機内食として取り入れたという。地上と機内との味覚や嗅覚などの違い、機上での調理方法、外国人にも食べてもらうためなど、導入当初かなり苦労したとのこと。

 その後に他の航空会社も有名シェフを使って機内食を提供するケースが増え、「シンガポール航空が世界の機内食を変えた」とも話していた。食器は美濃焼で、村田氏によると、岐阜県多治見市の現地で食器を焼き上げる前から選定を行ったという。

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