止まらぬ地方の人口減少! ミカン農家が感じた、打開のカギは「地域人材」「交通網」という現実

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人口減少が続く日本で、特に深刻なのは地方の農村部だ。その危機を救う存在として期待される「関係人口」について、解説する。

地方創生の主役がシフトする背景

地方のバスのイメージ(画像:写真AC)
地方のバスのイメージ(画像:写真AC)

 2022年の出生数が80万人を下回る見通しという報道があった。日本の人口減少は確実に進んでいる。しかし、よく見ると地域間でその実態には大きな差がある。深刻なのは地方の農村部だ。農村部の人口減少が止まらず、「消滅」可能性も指摘される地域がある一方、東京23区や政令指定都市への集中が進んでいる。そんな中、期待されているのが、地域と多様に関わる「関係人口」である。

 なぜいま関係人口が注目を集めているのだろうか。この記事では、関係人口が期待を集める背景と、熊本県天草市の農村部に住む筆者(筒井永英、コーポレートライター)が関係人口創出のマッチングサービス「おてつだび」を利用した所感と交通関係などの課題を書いてみたい。

 地域活性化や地域振興は歴代政権が取り組んできたテーマだが、地方の人口減や東京一極集中を食い止める「まち・ひと・しごと創生法」が施行されたのは2014年。これまで地方創生の中心は、主に移住と観光だった。

 ところが近年、移住と観光はトーンダウンしている。もちろんコロナ禍の影響はある。しかし、それだけが原因ではないだろう。

 移住のハードルは高い。リモートワークできる職場が増え、転職せずに移住できるようになったといっても、定住するかどうかは別の問題だ。また、人口減少に悩むのは一地域だけではない。国全体の人口が減る中で、地域間で移住者を取り合うのは生産的とはいえない。

 移住が難しいなら観光はどうか。基幹産業に乏しい地域にとって、地域の自然や文化、観光資源を活用し、域外から観光客を獲得することは魅力的に思える。だが、観光効果は一過性に過ぎない。仮に継続的に観光客を呼び込むことができても、それが成り立つのは地域の受け皿となる「人」がいてこそ。外から人を迎え入れるには、やはり「地域の人」が必要なのである。