止まらぬ地方の人口減少! ミカン農家が感じた、打開のカギは「地域人材」「交通網」という現実
人口減少が続く日本で、特に深刻なのは地方の農村部だ。その危機を救う存在として期待される「関係人口」について、解説する。
移住でも観光でもない「関係人口」

そこで期待されているのが「関係人口」だ。総務省は関係人口を「移住した定住人口でもなく、観光に来た交流人口でもない、地域と多様に関わる人々」と定義している。
関係人口の捉え方はさまざまだ。自治体によっては「ふるさと納税」で応援する人を関係人口と捉えているところもある。しかし、地域の担い手が減っている地方にとって、それだけでは十分ではない。実際に地域に足を運び、地域で活動する人たちが重要だ。
関係人口をつくりたい。地域がそう思っても、いきなり関係人口ができることはない。その手前にあるのが観光だが、知らない土地が観光地として選ばれることはないだろう。
きっかけがないなら、つくればいい。地方が持つ課題と、地方での仕事に興味を持つ人に目をつけたのが、マッチングサービス「おてつたび」である。
熊本県天草市に住む筆者の家は、1月から3月の3カ月間、おてつたびの受け入れをしている。筆者の夫はデコポン品種のかんきつ類を栽培するミカン農家で、人手を必要としているからだ。筆者が天草にやって来たのは2016年。東京出身の夫と神奈川出身の筆者が移住したのは、リタイアする農園を引き継ぐことができたからだが、まだ地元に強いネットワークを持っていない。
かんきつ類は天草の主要な産品のひとつ。収穫は冬季に集中する。みな同じ時期に人を必要とするので、わが家は毎年人手の確保に腐心していた。果樹収穫は季節労働のため、通年雇用も難しい。そこで注目したのが「おてつたび」である。