阿佐海岸鉄道DMVは、いつまでも「世界初」を売りにしてはいけない

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本格的な営業運行から12月で1周年を迎えた阿佐海岸鉄道のDMV。地域に役立つ路線として、価値をどのように持たせるかが課題となっている。

2022年12月で運行1周年

DMV(画像:写真AC)
DMV(画像:写真AC)

 徳島県の第三セクター・阿佐海岸鉄道(海陽町)が、道路と線路の両方を走れるデュアル・モード・ビークル(DMV)の営業運行を始めて、2022年12月25日で1周年を迎えた。本格的な営業運行は世界初で、新たな観光資源としても活用されつつある。

 DMVのメリットは、列車とバスを乗り換えせずに利用できるため、地域の公共交通が便利になることだ。なお、鉄道からバス、バスから鉄道へのモードチェンジは15秒程度と短い。

 阿佐海岸鉄道は鉄道時代、阿波海南駅(海陽町)と甲浦駅(高知県東洋町)を結んでいた。DMVになって以降は、阿波海南文化村から道路を走って阿波海南駅へ、線路を甲浦駅まで走った後、再び道路におりて海の駅東洋町、道の駅宍喰温泉(海陽町)へと向かう。土日祝日には、海の駅東洋町から室戸岬を経由して、海の駅とろむ(室戸市)を結ぶ便が上下1本ずつ運行されている。

 室戸岬は観光地として知られるが、阿佐海岸鉄道の沿線自体は過疎化が進み、人口も多くはない。そんな地域が世界初のDMVを導入したのは、どういう経緯があったのか。

阿佐海岸鉄道の歴史

阿波海南駅(画像:写真AC)
阿波海南駅(画像:写真AC)

 国鉄時代、周辺は阿佐線として鉄道敷設が計画された地域で、阿佐線は徳島県の牟岐駅(牟岐町)から高知県の後免駅(南国市)を結ぶ路線として計画された。

 一部は工事が行われ開業したものの、その他の工事は国鉄再建法により中断し、国鉄時代に再開することはなかった。その後、高知県内の区間は土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線として、2002(平成14)年に後免駅からの奈半利駅(奈半利町)まで開業した。

 一方、徳島県内の部分は、1992年に阿佐海岸鉄道阿佐東線として開通した。阿佐線で予定されていた両線の接続は果たせていないが、鉄道が建設されなかった区間には路線バスが運行されている。