高級車の代名詞! ロールスロイスのマスコットは英国貴族の「超美人秘書」がモデルだった?
高級車を代表するロールスロイスといえば、ボンネットに装着されたフードマスコットが有名だが、その誕生から普及までには知られざる物語があった。
名門メーカーのシンボルに秘められた物語
1910年頃の話である。
モーターリストとして、そして初期の自動車雑誌『The Car』の編集者としても有名だった英国貴族、ジョン・スコット・モンタギューは、自身の愛車ロールス・ロイス・シルヴァーゴーストに対して、類いまれな耐久性と機械的な信頼性を実現していたその高性能にふさわしい「フードマスコット」を装着することを思い付いた。
一口にフードマスコットと言ってもその内容は一通りではなく、既製品にするかワンオフにするか、金属製にするかガラス製にするかなど選択肢は多数あった。ここでモンタギューが選択したのは、旧知の友人だった彫刻家のチャールズ・サイクスに金属製の新たなマスコットを製作してもらうことだった。
モンタギューからの依頼を快諾したサイクスは、過去に習作として手掛けていた「Silver Fancy」という名の女神の立像をモチーフとした作品を手直し、新たにギリシャ神話の女神ニケを思わせる翼を持つ女神のマスコットを完成させた。
ここではモンタギューの秘書を務めていた、美しい女性であるエレノア・ヴェラスコ・ソーントンをモデルにその容姿のイメージを盛り込んだと言われている。
完成したマスコットにはほどなく「Spirit of Ecstasy」という作品名が与えられた。