別名・ハマの山手線 「横浜環状線構想」は結局実現するのか? 相鉄東京乗り入れで、横浜財界ビクビクの現実とは
鶴見から元町・中華街までほぼ1周

300万都市・横浜をぐるりと回る“ハマの山手線”――そんな「横浜環状線」構想が半世紀以上も棚ざらし状態であることを知る人は少ない。
国際的な都市競争と国内の自治体間競争に生き残るため、横浜は長期ビジョンで臨み、競争力アップを図るインフラのひとつとして、市や横浜財界は同路線に期待を寄せる。だが現実は厳しく、他路線の整備が優先され、こちらは「後回し・先送り」というジレンマ状態。少なくとも、今後10年は工事にこぎつける見込みすらない――との声も。
環状線は既存の横浜市営地下鉄グリーンライン(横浜市高速鉄道4号線)の両端からそれぞれ地下鉄を延伸し、横浜都心から半径5~10kmの部分にぐるりと走らせようというもので、総延長は約40km。
想定経路は、まず既存のグリーンライン(約13.1km)が都心の北西、JR横浜線中山駅を起点に時計回りに進み、日本屈指の規模を誇る港北ニュータウンを横切り東急電鉄東横線/目黒線日吉駅に達しており、これをベースにまず日吉駅以遠(東部区間)は時計回りで進みつつ南下し、JR横須賀線と並走しながらJR京浜東北線鶴見駅に接続する。この間の長さは約6km(概算)である。
一方、反対側の中山駅以遠(西部区間)の延伸は、反時計回りに、
「相模鉄道二俣川~JR東海道本線東戸塚~京浜急行電鉄/市営地下鉄ブルーライン上大岡~JR根岸線根岸~(本牧地区)~みなとみらい線元町・中華街」
に至る区間の全長約26km(同)で、東西合わせると総延長は市側の発表で約34.4kmになる。ただし、JR山手線のような完全ループではなく、鶴見駅~元町・中華街間は既存のりんかい線やJR京浜東北線で代用する。
当然だが鉄道規格はグリーンラインを踏襲し、軌間(線路幅)は1435mmのいわゆる「標準軌」で、京急や京成電鉄と一緒である。電力を電車に取り入れる電化方式もグリーンラインと同じ架空電車線方式で、頭上の架線からパンタグラフで電力を得るごく一般的なスタイルだ。
ちなみに、姉妹路線の市営地下鉄ブルーライン(横浜市高速鉄道1号/3号線)は第三軌条(線路横のレールから給電)で、東京メトロ線の銀座線、丸の内線などと同じ方式のため、この「姉妹」は残念ながら相互乗り入れはもちろん、車両の相互融通も不可能だ。
ただし、グリーンラインの車両の足回りには急勾配に強い鉄輪式リニアモーター方式を採用し、事実路線内には58‰(パーミル。1000m進むと58m上がる)という急勾配も存在する。通常の鉄道は25‰が限界のため、仮に京急線と相互乗り入れを図ろうとしても、方式も異なり、それ以前に京急線の車両は急勾配をクリアできない。
一方、根岸駅~元町・中華街の部分はみなとみらい線を延伸させ、根岸駅まで東急東横線の電車が乗り入れる案も有力視されている。