米国の新人ドライバーは「年収1400万円」 日本との格差はもはや絶望的、待遇改善のカギは「トラック大型化」も課題山積の現実

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2022年5月、米国の流通大手・ウォルマートが「新人ドライバーを年収1400万円で雇用する」とのニュースが流れた。米国ではなぜこのような価格を提示できるのか。

米国ドライバーの年収が高い理由

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 2022年5月、米国の流通大手・ウォルマートが「新人ドライバーを年収1400万円で雇用する」とのニュースが流れ、物流業界内で大きな驚きをもって受け止められた。日米の給与は最近の円安もあって差が拡大傾向にあるとはいえ、それでも、400万円台の年収が平均的である国内のドライバーと比べると、やはり衝撃的である。

 ではなぜ、このような差が生じたのだろうか。その理由を一言でいうなら

「生産性が違うから」

である。労働者に高い給与を支払えるのは、それだけ生産性が高いからにほかならない。

 それではなぜ、生産性に差が生じるのだろうか。理由はいろいろと挙げられるが、一番大きなポイントは

「トラックのサイズの違い」

である。ドライバーの仕事は「荷物を運ぶこと」である以上、運ぶ荷物の量が生産性を左右するのは当然である。

 ドライバーの給与を上げるには、生産性を高めることが必要で、そのためには「大型化」が必要である。非常に分かりやすい話である一方、大型化は遅々として進まない。その理由について改めて考えてみたい。

日本の物流は4tクラス中心

主なトラックの分類(画像:国土交通省)
主なトラックの分類(画像:国土交通省)

 最初に、実態を確認しておこう。トラックの分類は国によって違うが、日本国内では、集配送が中心の4t、幹線輸送が中心の10t、さらに大型のトレーラーが主な種類である(2t車、軽トラックも重要だが、本稿では割愛する)。

 画像のトレーラーは、正式にはけん引車両であるトラクタと被けん引車両であるトレーラー(シャシー)に分かれるが、両者をあわせてトレーラーとも呼ぶ。なお、統計上、車両台数をカウントする場合はトラクタの部分が対象になる。1台のトラクタで、複数台数のトレーラーシャシーを運用することがあるためだ。

 このうち、台数ベースで見て多いのは4tクラスであり、全体の半数程度を占める。その次に多いのが10tである。それよりも大きいトレーラー(トラクタ)になると台数はグッと減り、7%程度しかない。このように、日本の物流は4tクラス中心で、トレーラーが少ないという特徴がある。

 この背景には、

「トレーラーが通行できる道路が制限される」

という法規制上の問題があるのだが、このような車種構成は世界的に見てかなり特殊である。欧米やアジアの大陸国では、国境をまたいだトラック輸送が広く普及している。特に海上コンテナを輸送するトレーラーの通行は内陸国にとっては「生命線」でもある。日本のように、一般則として通行を禁止するのは例外的で、島国ならではの制度だともいえる。