東京都は箱物行政を今すぐ止め、「船で通勤」のインフラ整備に注力すべきだ
最大の鍵は、駅近船着き場整備

今回実施したらくらく舟旅通勤第2弾は、観光も視野に入れた社会実験として位置づけているようだ。だが、本当の意味での社会実装を考えるのであれば、既存の公共交通機関と比肩する利便性やコストを目指す必要があるはずだ。
「確実に座って通勤できる電車」といえば、以下のような先例がある。
1.JRにおける湘南新宿ライン、東海道線、高崎線、宇都宮線等のグリーン車
2.西武鉄道池袋線のS-TRAIN
3.東武鉄道東上線のTJライナー
1.の場合、50km以内(例えば新宿~横浜)で平日780円が運賃にプラスされる。2.の場合、豊洲~所沢間で510円プラス。3.の場合は、池袋発で小川町までどの駅で降りても上り470円、下り370円。他にも、小田急の特急ロマンスカーなどがあるが、これは通常の特急料金が運賃にプラスされる。
これらから考えると、今回のらくらく舟旅通勤で設定された500円(一部航路を除く)というのは、わりと妥当な金額なのかもしれない。
問題は、船着き場である。今回設定された、8つの船着き場、6つの航路に、ドンピシャで通勤経路が当てはまる人はあまりいないだろう。
そもそも、やみくもに航路を設定するよりも、通勤に不便を感じているエリアに照準を合わせた方がよい。そうなると、第1候補は、晴海・勝どきエリア。次候補は、東雲・有明エリア。次いで、人口集中による駅の混雑が激しい豊洲エリアとなるか。
船の到着地は、山手線の各駅が望ましい。ほとんどの人は、船から鉄道に乗り換え、勤務地まで向かう必要があるからである。運河もしくは海が近い駅となると、田町駅、品川駅が最有力。品川には品川防災船着場(品川駅から500m弱)が、田町には田町防災船着場(田町駅から約200m)がある。次点としては、日本橋船着場(日本橋駅から徒歩2分。日本橋のたもと)だろうか。
当初は、船は既存の観光船など、今回のらくらく舟旅通勤で利用されたものを使えば良い。船着き場や、将来的には新たな舟運通勤専用船などを整備(あるいは新造)する必要はあるだろうが、鉄道を新設するときのように、1000億円単位の投資を必要とはしないだろう。水深が浅い、水路が狭い(特に田町)といった可能性はあるが、クリアできない課題ではないはずだ。