東京都は箱物行政を今すぐ止め、「船で通勤」のインフラ整備に注力すべきだ

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自動車輸送が普及する以前、貨物・旅客双方における輸送手段の花形は、水運であった。東京都は今、東京2020オリンピック・パラリンピックのレガシーとして、舟運による人の移動を再現しようとしている。

人口が増加する東京ベイエリアが抱える課題

前回記事でリポートした「らくらく舟旅通勤」中でも、晴海・勝どきエリアに新たな高層マンションが建設されている様子がうかがえた(写真は晴海地区)(画像:坂田良平)
前回記事でリポートした「らくらく舟旅通勤」中でも、晴海・勝どきエリアに新たな高層マンションが建設されている様子がうかがえた(写真は晴海地区)(画像:坂田良平)

 2022年3月、東京都は「東京ベイeSGまちづくり戦略2022」を発表した。これは、東京2020オリンピック・パラリンピックの会場が多数残るベイエリア(東京臨海部)に、環境等にも配慮した先進的な街を築こうという意欲的な都市計画プランである。

 前回記事(2023年1月5日配信「「船で通勤」は本当に普及するのか? 絶景味わえても課題山積、実際に通勤してみた」)でリポートした、らくらく舟旅通勤第2弾(2022年10月17日(月)~11月4日(金)に実施)は、「東京ベイeSGまちづくり戦略2022」実現に向けた社会実験であった。

 だが、これ以前の問題として、中央区、江東区、品川区の湾岸エリアに接する地域では、人口増による交通インフラの不足という深刻な問題を抱えている。

 2022年1月28日に総務省が発表した住民基本台帳の人口移動報告では、東京23区が集計を開始した2014年以来初となる転出超過(1万4828人)となったことが判明、話題となった。

 だがその一方で、転入超過が続いている区もある。本稿執筆時点で最新となる2022年9月時点の東京23区人口データを、3年前の2019年9月と比較してみると、江東区(転入超過1万464人)が抜きんでており、以下中央区(6577人)台東区(5380人)、文京区(5217人)、墨田区(4807人)と続く。

 江東区は、豊洲、東雲、有明といったベイエリアに新たなタワーマンションが建設中である。中央区でも、同じくベイエリアにあたる晴海、勝どきといったエリアには続々とマンションが建設されている。物議を醸した東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地のマンションへの入居が始まれば、中央区も江東区に並び(もしくは追い抜いて)大幅な転入超過となることが予想される。

 ベイエリア地区は、もともと交通インフラが弱い。

・都営地下鉄大江戸線 勝どき駅
・有楽町線 月島駅・豊洲駅・辰巳駅
・りんかい線 東雲駅・国際展示場駅・東京テレポート駅
・ゆりかもめ 各駅

 ここに挙げたベイエリアの各駅および各路線は、ゆりかもめを除けば、渋谷・新宿・池袋といった3大副都心駅に直結している。だがその輸送能力は、増加する人口に対し、キャパオーバーしかけていることは、豊洲駅、勝どき駅の朝の様子を見れば明白だ。特に、勝どき駅は、駅に入場するまでに行列ができることがあり、早急な対応が求められる。また、勝どき・晴海地区は最寄りとなる勝どき駅から距離があり、アクセスが悪い。

 勝どき・晴海エリアと都心部を結ぶ足として期待されていた東京BRTも、東京2020オリンピック・パラリンピック延期のごたごたに巻き込まれ、本来計画されていたはずの4路線運行も、晴海から勝どきを経由、新橋を抜け虎ノ門ヒルズまで結ぶ1路線運行のみにとどまっている。

 ベイエリアに住む、もしくは働く人々の生活満足度を上げるためには、交通インフラの整備が不可欠なのだ。

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