世界的なコンテナ不足が引き起こした「海上運賃の高騰」 この混乱は今後も続くのか、はたまた収束するのか

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近年、コンテナ運賃が急騰している。その背景にあるのが世界的なコンテナ不足だ。いったいなぜか。

海上運賃高騰のワケ

入港するコンテナ船(画像:写真AC)
入港するコンテナ船(画像:写真AC)

 近年、海上運賃が世界的に高騰している。日本郵船のサイトに掲載されている「定期船運賃市況」によると、中国初、欧州・北米向けの運賃は1998(平成10)年1月1日時点を1000ポイントとすると、2008年から2020年まではおおむね500~2000ポイントの間を推移しているが、2020年以降は一時6000ポイント程まで上昇した。

 なぜこのような状況になっているのか。それは、コンテナ運賃が急騰しているからだ。日本海事センターの「コンテナ運賃動向」を見てみると、中国初、NY着のコンテナ運賃は2020年1月に1390USドルだったが、2022年1月には8130USドルまで上昇していることがわかる。

 こうしたコンテナ運賃急騰の背景には、

「世界的なコンテナ不足」

がある。2019年には米国が中国に対して関税の引き上げを行うなど米中貿易摩擦が起こった。結果、荷動きの低下が懸念されるなどしてコンテナ生産量が40%減少。また、2020年には新型コロナウイルスが世界中にまん延した。

 コンテナは約98%が中国により製造されているが、ロックダウンにより中国でのコンテナ製造工場の稼働が止まるなどして、2019年に引き続き、コンテナ生産量は低いまま推移することになる。

 米中貿易摩擦やコロナによりコンテナ生産量が減少する一方、欧米各国ではコロナによる巣ごもり需要でコンテナの需要が増加した。コンテナ生産量が減っているのにも関わらず、荷動きの量は増えてしまった。こうしたことが理由で、世界的なコンテナ不足と、海上運賃高騰が起こっているのだ。

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