世界的なコンテナ不足が引き起こした「海上運賃の高騰」 この混乱は今後も続くのか、はたまた収束するのか
近年、コンテナ運賃が急騰している。その背景にあるのが世界的なコンテナ不足だ。いったいなぜか。
海上運賃とコンテナ不足のいま

ところで2022年に入り、コンテナ生産量や海上運賃はどうなっているのだろうか。冒頭で紹介した日本郵船の定期船運賃市況を見てみると、2022年に入って運賃の高騰は収まりつつあることがわかる。
1998年1月1日を1000ポイントとした指標は、中国から欧州向けは一時6000ポイントにまで上昇していたが、2022年11月には2500ポイント程度まで減少。特に中国から北米西岸行きの運賃は1000ポイント程度まで下がっている。まだ完全に収まったわけではないが、運賃は減少傾向にあるといえる。
海上運賃高騰の原因のひとつとなったコンテナ生産量については、2021年より増産体制が取られている。2020年から2021年にかけて、巣ごもり需要により需要が増えたが、2022年には世界各国でコロナへの対応は緩和していることもあり、コンテナ不足は解消に向かう可能性が高い。
なお、北米では2021年までコロナ禍による巣ごもり需要により、在庫が積みあがっていることも、今後の荷動き減少につながるひとつの要因になる可能性がある。コンテナ不足により引き起こされる、その他の問題として紹介したコンテナ船の滞船状況については、2022年末になるにつれて少しずつ解消が進んでいる。
一方、物価の上昇についてはコンテナ不足が主要因ではないため、まだまだ改善の兆しは見られない。例えば、米国の場合は2022年末の時点でインフレ率が上昇しており、その対策としての利上げを2023年末頃まで継続して行っていく可能性があるとしている。
海上運賃高騰を引き起こした世界的なコンテナ不足が、こうした世界各国の物価高騰にまで影響を及ぼしていると考えると興味深く感じられるのではないだろうか。