全国で相次ぐ「橋の通行止め」 財政難の自治体もはや維持できず、今こそ取捨選択費用の公開を
全国で通行止めになる老朽橋が相次いでいる。高度経済成長期に架けられた橋が一斉に耐用年数を迎えているためで、財政難の地方自治体は対応に苦慮している。
どの橋を残すか、取捨選択が必要

自治体に不足しているのは予算だけでない。2020年時点で市の7%、町の24%、村の59%に橋の保全を担当できる技術者がひとりもいない。財政難で職員補充を見送っている自治体は点検に当たる人手も足りなくなっている。
大分県では、大分市の国交省河川国道事務所に国交省、大分県、県内市町村の道路担当者らが集まり、橋の補修状況について話し合った。大分県では市町村が管理する1288の橋が補修工事を行うべきとされたが、進捗(しんちょく)率は28%。九州全体の平均より20ポイント低いことが分かったからだ。
大分県は予算と人手、技術が不足し、適切な修繕をできていないことが原因とみているが、会議で具体的な改善方法は出なかった。
国交省は点検へのドローン活用など新技術の積極的な導入や点検業務の外部発注、橋の延命化工事実施などを呼び掛けているが、人口減少と高齢化で地域の先行きが危ぶまれる自治体の反応は鈍い。
現在の状況ですべての橋を架け替えるか、補修するのは困難だ。少ない予算を有効に活用し、交通網を維持するためには、残すべき橋の取捨選択が欠かせない。どの橋を残すべきか、費用とリスクを公開して今から住民と議論しておく必要がありそうだ。