進まぬ日本の「無電柱化」 このペースなら完了は1500年後、なぜこんなに遅いのか?

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東京五輪が終わり、大阪・関西万博が3年後に迫っているのに、日本の道路は無電柱化が遅々として進んでいない。どこに原因があるのだろうか。

大阪・船場で景観が徐々に変化

街なかの電柱(画像:写真AC)
街なかの電柱(画像:写真AC)

 江戸時代に「天下の台所」と呼ばれ、大阪市を代表するビジネス街になった中央区船場地区で碁盤の目状に走る道路の姿が少しずつ変わってきた。電線などを地下へ埋設する無電柱化工事が部分的に進んでいるからだ。

 北浜から南本町まで約1kmの三休橋筋が無電柱化し、電柱と電線がないすっきりした景観を見せているのをはじめ、船場地区に残る歴史的建造物周辺を無電柱化する大阪市の「かんまち事業」が動いている。

 かんまち事業は観光魅力向上のための歴史・文化的まちなみ創出事業の略で、事業実施箇所として先行整備する3か所と整備に向けた検討に入る1か所が市の有識者会議で選定され、事業が進んでいる。

 先行整備の3か所は今橋4丁目の大阪倶楽部・今橋ビルヂング周辺、今橋3丁目の日本生命本館周辺、伏見町の芝川ビル周辺。いずれも大正時代から昭和初期に建築された築100年前後の歴史的建造物がある。工事を終えた箇所は電柱が消えただけでなく、石畳風の道路舗装や広い歩道で街の雰囲気が大きく変わった。

 整備に向けて検討に入るとされたのは、江戸時代から薬種問屋が集まり、薬の街として知られる道修(どしょう)町通。大阪市は地元企業などでつくるまちづくり協議会と連携し、武田薬品工業旧本社などがある道修町2、3丁目の延長約500mに管路を整備した。

 大阪市道路課は「あとは電力会社が電気の供給を切り替え、電柱を撤去するだけ。この区間が無電柱化すれば、地域の魅力が高まるのではないか」と胸を張る。

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