全国で相次ぐ「橋の通行止め」 財政難の自治体もはや維持できず、今こそ取捨選択費用の公開を
全国で通行止めになる老朽橋が相次いでいる。高度経済成長期に架けられた橋が一斉に耐用年数を迎えているためで、財政難の地方自治体は対応に苦慮している。
老朽橋は今後、さらに増える見通し

国土交通省によると、全国には約72万の道路橋があり、その多くが高度経済成長期に建設された。建設後50年を経過した橋は2019年度で全体の27%だったが、2029年度には
「52%」
に達する見通し。さらに、亀錦橋のように建設年度が不明の古い橋が全国に約23万も存在する。
道路橋の71%は市区町村が管理する。市区町村道で通行止めなど規制をしている橋は2008年度に約860だったが、2015年度に2000を突破し、2017年度以降は2500を上回るなど、増加する一方。全国の橋は5年に一度目視で点検しているが、2021年度の点検終了時点で8.1%が緊急措置または早期措置が必要と判定された。
橋の補修や架け替えには多額の予算がかかる。和歌山県中南部に位置する田辺市秋津町の右会津川に架かる秋津橋は、田辺市が腐食した鉄筋にさび止めを施し、ひび割れたりはがれ落ちたりしたコンクリートを補修、アーチ形の橋脚を補強して約7000万円の事業費がかかった。秋津橋は橋長60m。新しい橋を架けるとなると億単位の予算が必要になる。
2020年度末までに緊急措置が必要と判定され、廃止・撤去されたのは栃木県那珂川町の新那珂橋、山口県長門市の掛渕橋など103橋、撤去中または撤去予定なのが189橋に及ぶ。2019年度末に比べ、廃止・撤去済みは30橋、撤去中または撤去予定は7橋増えている。
日本が世界2位の経済大国となった1970年代に建設された橋は、これから大量に建設後50年を迎える。ところが、国も地方も財政難にあえいでいる。今後、橋の通行規制や撤去がさらに増えることは想像に難くない。