今さら聞けない? 「航空券の価格」が上がったり下がったりするワケ

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航空券代は購入時期や空席率に応じてその価格が大きく上下する。いったいなぜか。

JR値上げも 良心的な新幹線価格

新幹線(画像:写真AC
新幹線(画像:写真AC

 電車や新幹線などの公共交通機関にも割引は存在するが、航空券のように価格差が3倍以上になることはない。そのような1年を通して乗車料金が安定しているイメージがある新幹線などの特急にも、実は繁忙期価格が設定されている。その価格設定は通常期、繁忙期、閑散期と分かれているが、驚くべきはその価格差だ。通常期価格に対して繁忙期が200円増し、閑散期は200円引きと、その差はあってないようなものなのだ。

 繁忙期に大胆な価格の引き上げを行う航空券の価格と比較すると、その差は何倍にもなる。このような理由から普段は飛行機派でも、お盆や年末年始には新幹線を利用するという人も多いのではないだろうか。

 現状の価格設定では繁忙期は価格が変わらない新幹線、閑散期には価格が大きく下がる飛行機の利用を好む人が多いだろう。しかし、毎年の年末年始や大型連休時の飛行機の満席具合から見ても分かるように、大きな価格差にも関わらずそれでも需要が供給を上回っている。

 ダイナミックプライシングは

「稼げる時期にしっかりと稼ぎ、需要が少ない時期は価格を下げることで新たな需要を生み出す」

と、収益を最大化するという狙いがあるので、通年を通して販売価格がほとんど変わらないJRは航空会社と比較すると収益を逃していることになる。

 ようやく10月に入って、JRは特急料金の見直しに伴う最繁忙期の設定を2023年から行うことを発表したが、それでも通常期のたった400円増しにとどまる計画だ。あまりに良心的すぎる価格設定に、少し心配になってしまうのが正直な気持ちである。

 一方、いつでも同じ価格で乗車できるという信頼性が鉄道にはあり、航空券料金のような完全なダイナミックプライシングを導入してしまうと、通勤や通学などでインフラとして利用している人への影響も大きいだろう。

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