飛行機に乗るのはもはや「恥」なのか? 世界に広がる脱炭素の波、日系エアラインが心血を注ぐCO2削減対策とは

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脱炭素の観点から世界に広がる「飛び恥」。そんな不名誉レッテルに航空業界はどのように対応するのか。

航空業界のCO2排出量は世界の2%

飛行機(画像:写真AC)
飛行機(画像:写真AC)

 航空業界による二酸化炭素(以下、CO2)の排出量は、世界で排出される量の約2%も占めている。そのため、近年は脱炭素の観点から飛行機の利用が「飛び恥(Flight shame)」と呼ばれ、移動時に飛行機を避ける運動も世界で起きている。

 オンライン事典の「知恵蔵mini」は、飛び恥について次のように記している。

「飛行機より環境負荷の少ない鉄道での移動を呼びかける運動。「Flygskam(フリーグスカム)」というスウェーデン語の邦訳。国内での移動などに飛行機ではなく鉄道を利用することで温室効果ガスの排出量を削減し、地球温暖化を防ぐことを目的としている。同国の環境活動家グレタ・トゥーンベリが2018年に提唱し、欧州や米国で広がりを見せている」

 航空各社もCO2削減への早急な対策を求められており。バイオ原料などを使った持続可能な航空燃料(SAF)が注目されているものの、CO2排出量実質ゼロは現実的に可能なのだろうか。

 選挙で選ばれた36の加盟国から構成される国際民間航空機関(ICAO)では2010年、

・2050年までの年平均2%の燃費効率改善
・2020年以降の温室効果ガスの排出増加防止

を決議した。一方、JALやANAはさらに一歩進んで、2050年度までにCO2排出量実質ゼロを宣言しており、具体的には

・SAF(持続可能な航空機用の燃料)の活用
・飛行経路の見直し
・低燃費機材の選定
・プッシュバックなしでの滑走路への移動
・機内サービス用カートの軽量化
・ウォータウォッシュ(エンジン内部水洗)による燃費の改善
・機内食などの廃棄率の削減

といった取り組みを行っている。

 CO2削減だけでなく燃料費の大幅なコストカットも図るためには、ドリームライナー(B787)やA320neoといった燃費の良い機材で飛行すればよい。また、持続可能な航空燃料(SAF)を使えば、従来よりCO2排出量を約80%削減できる。

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