鉄道の未来は貨物にある! JR九州初代社長が道内「北方4線」を国策維持すべきと力説するワケ

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JR九州の初代社長・会長を務めた著者は日本の鉄道の未来の鍵は「むしろ貨物にある」と主張する。いったいなぜか。

日本の鉄道貨物は「小国」レベル

北海道新幹線H5系(画像:写真AC)
北海道新幹線H5系(画像:写真AC)

 今回紹介する石井幸孝『国鉄―「日本最大の企業」の栄光と崩壊』(中央公論新社)は、1955(昭和30)年に国鉄に入社し、技術者としてディーゼル機関車の開発などに携わり、最終的にはJR九州の初代社長・会長を務めた人物が国鉄の歴史をたどった本だ。

 国鉄の誕生から分割民営化までをたどりながら、DD51機関車の開発秘話や、国鉄における労使対立の問題なども盛り込んでおり、読み応えのある内容となっているが、ここでは著者が提唱する貨物の強化、特に新幹線を使った新幹線貨物の構想について紹介したい。

 日本は年間の旅客輸送人員が世界一の「鉄道大国」であるが、それは旅客輸送に限ったことで、鉄道貨物輸送を見ると「鉄道小国」となってしまう。本書によると、年間貨物輸送トン数は

「世界第32位」

にすぎない。貨物については中国、アメリカ、ロシア、インドといった国土の広い国が上位を占めており、地理的な要因も大きいが、例えば日本よりも面積の小さいドイツと比べても、日本の年間貨物輸送トン数は13分の1にすぎない(本書222ページ表6-2参照)。ただし、かつては貨物輸送も旅客輸送に負けない存在感を示していた。札幌駅長よりも岩見沢駅長が、博多駅長よりも若松駅長が格上だったという(岩見沢駅も若松駅も貨物中心の駅)。

 しかし、1960年度に39.0%あった鉄道貨物のシェアは、1985(昭和60)年度には

「4.9%」

にまで落ち込んでしまった。貨物の中心を占めていた石炭輸送がエネルギー革命によって石油に取って代わられてしまったということもあるが、自動車との競争に負けてしまったことが一番の原因である。

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