未来の「鮮魚列車」になれるか? 国交省「貨物新幹線」検討、その前に立ちふさがる3つの難題
国土交通省の「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」の中間取りまとめ案で、新幹線に貨物専用車両の導入を検討することが明記された。今後の展望とは?
導入の見込みはあるのか
新幹線による貨物輸送が、本格的に導入されるかもしれない――。
7月28日に発表された、国土交通省の「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」の中間取りまとめ案で、新幹線に貨物専用車両の導入を検討することが明記されたのだ。果たして、本当に見込みはあるのだろうか。
検討会の目的は、
・深刻なドライバー不足
・2050年のカーボンニュートラル実現
に向け、鉄道貨物の輸送量拡大によって、物流の課題を解決することだ。
中間取りまとめ案では「貨物鉄道の輸送モードとしての競争力強化に向けた課題」のひとつに、「新幹線による貨物輸送の拡大に向けた検討の具体化」を挙げている。ここでは、JR各社が近年本格的に乗り出している新幹線を使った荷物輸送を取り上げ、
「貨物専用車両による高頻度の大量高速輸送を実現できれば、我が国の物流においてイノベーションを引き起こす可能性があり、新たな輸送ニーズやマーケットの開拓を通じた我が国・地方の経済成長への貢献、航空機やトラックからのモーダルシフトによる地球環境への貢献の可能性も出てくる」
としている。なお、モーダルシフトとは、環境負荷の小さい鉄道や船舶を使った貨物輸送への転換を意味している。