鉄道の未来は貨物にある! JR九州初代社長が道内「北方4線」を国策維持すべきと力説するワケ

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JR九州の初代社長・会長を務めた著者は日本の鉄道の未来の鍵は「むしろ貨物にある」と主張する。いったいなぜか。

新幹線貨物における三つのメリット

個人向けの新幹線荷物輸送サービス「はこビュン」(画像:JR東日本ホテルズ)
個人向けの新幹線荷物輸送サービス「はこビュン」(画像:JR東日本ホテルズ)

 新幹線貨物のメリットのひとつ目は、輸送時間の短縮とエネルギー効率の良さである。現在の鉄道貨物は鹿児島~大阪が18~20時間、札幌~東京が17~19時間で、トラック輸送でも同程度の時間がかかる。

 これに対して現在の新幹線は鹿児島~大阪が3時間45分、札幌~東京が4時間半程度と想定されている。貨物で同じような速度が出せるかどうかはわからないが、大幅な時間の短縮が可能だ。また、エネルギー的にもトンキロ当たりおおよそ10分の1ですみ、二酸化炭素の削減効果も大きい。さらに深夜に走らせれば、深夜の余剰電力を使用することもできる。

 ふたつ目のメリットは長距離ドライバー不足の解消である。ドライバーの不足と事故防止のための勤務時間規制によって、トラックによる長距離輸送は難しい状況に陥っているが、新幹線貨物ならばこの問題を解消できる。

 三つ目は災害時の強さである。新幹線はおおむね内陸部を走行しており、東日本大震災においても津波の被害を受けなかった。また、地震事前検知システムを備えているなど、災害への備えもなされている。さらに、赤字に陥っている路線の活用や、地域活性化の起爆剤としても新幹線貨物は期待できるという。

 JR九州の社長も務めた著者は、JRグループのなかでもっとも経営状況が苦しいJR北海道について、その経営改善策を提案しているが、その柱となっているのも貨物だ。

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