LCCはなぜ格安なのか? その背後にある、涙ぐましい「5つの経費削減術」とは
社内に浸透しているコスト削減意識

格安航空会社(LCC)では「必要なところにはお金を掛ける、しかし代用できるものは代用し、自分でできることは自分で行う」というマインドが徹底されており、オフィスではあらゆる経費削減の工夫がなされている。
筆者はCAとして数社に勤務した経験を持つが、そのうち1社はLCCであり、社内の経費削減術は自身も実際に実行していた。
言うまでもないが、安全面での妥協は一切しない。航空会社にとって安全は絶対的な基盤だ。では、LCC各社はどのようにして低価格の運賃を実現しているのか。
現場には大きな努力から小さな工夫までさまざまなものがあるが、今回は中でも他業種企業でもすぐに実践できそうな経費削減策を紹介する。以下の5例は、実際にLCCで働いていた筆者の実体験、およびLCC各社に勤務する筆者の知人から聞いた内容を織り交ぜたものである。
1. エレベーターの代わりに階段を使う
まず最初に紹介するのは、基本中の基本「エレベーターの代わりに階段を使う」という節約術だ。あまり目新しさは感じないかもしれないが、大手航空会社ではあまり見られないルールである。
とあるLCCでは、2フロア以内の昇降は階段を使用するというルールがある。そして、エレベーターのボタンのところには「階段何段昇れば〇〇カロリー消費!」と書いてある。経費を削減しつつ、体力勝負であるクルーたちを普段から鍛えてくれるルールだ。
ただし、フライトに行くクルーや帰ってきたクルーはエレベーターを使う。クルーはキャリーバッグを持っていることも多く、それを持ったままの階段の昇降はあまりに酷だ。フライトの前にオフィス内の移動で体力を使うわけにはいかないし、けがをするわけにもいかない。
航空会社は安全第一。クルーがフライトに向けて体力を温存しておくことが、空の旅の安全に直結する。つまり、オフィス内で事務作業中のクルーは2フロア以内の昇降は階段を使用する、ということである。
全てストイックにやれば良いというわけではない、というところがポイントで、あくまでできる部分だけをコストカットしていく「LCCらしい節約術」の良い例だと筆者は感じる。メリハリをつけてやることが、成功のコツなのだろう。