鉄道ファンだけじゃもったいない! 列車が走らなかった「未成線」、その効果的な活用方法とは

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未成線のなかには、第三セクターが経営主体となり開業にこぎ着けた線も。また、道路や遊歩道に転用された例や、また、観光スポットや学術施設などに活用されている。

トロッコ遊覧車が走る岩日北線

錦川清流線の錦町駅(画像:(C)Google)
錦川清流線の錦町駅(画像:(C)Google)

 岩日北線は、山陽本線岩国駅と山口線日原駅を結ぶ計画だった岩日線のうち、錦町駅以北の路線だ。1963(昭和38)年に錦町駅まで開業し、さらにその先へと建設されていたが、国鉄再建法により凍結された。現在は、岩徳線川西駅から錦町駅間を、錦川鉄道が錦川清流線として運営している。

 建設された錦町駅から六日市駅間のうち、錦町駅から雙津峡(そうづきょう)温泉駅までの約6kmを活用し、2002(平成14)年7月からトロッコ遊覧車「とことこトレイン」が走っている。運行期間は3~11月の土日祝日と春夏休み期間(毎日)で、1日3往復、繁忙期は4往復運転中だ。

 とことこトレインは、蛍光石を利用して創り出した幻想的なトンネル内部の世界が特徴であり、多くの観光客を魅了している。錦川鉄道は、創意工夫による旧国鉄跡地の有効活用、観光資源活用による鉄道事業の経営改善ならびに地域貢献が評価され、平成16年度日本鉄道賞(地域活性化への貢献)を受賞した。

 過去に国鉄線として造られた線路は、2019(令和元)年度末時点の残高が約16兆円ともいわれている国鉄債務に変わったのだ。現在、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が、一部のトンネルの譲渡先を募っているものの、多くの構造物は放置されたままだ。どのような形でもよいので、斬新なアイデアにより有効活用できないものかと、今更ながら考えさせられる。

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