鉄道ファンだけじゃもったいない! 列車が走らなかった「未成線」、その効果的な活用方法とは

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未成線のなかには、第三セクターが経営主体となり開業にこぎ着けた線も。また、道路や遊歩道に転用された例や、また、観光スポットや学術施設などに活用されている。

素粒子観測にも活用される五新線

五新線の未成線(画像:写真AC)
五新線の未成線(画像:写真AC)

 五新線は、和歌山線五条駅と紀勢本線新宮駅を結ぶ計画だった路線だ。

 大正時代に計画され、戦争などによる中断を挟みながらも、1959(昭和34)年に五条~城戸間の路盤工事が完成。続いて城戸~阪本間も工事が進められるも、1980年に制定された日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)により建設が凍結された。実際に工事が行われた区間は、全長約100kmのうち、五条~阪本間(約22.5km)だ。

 建設中から、バス路線としての開業を主張する地元自治体があり、五条~城戸間は、国鉄バス(後の西日本JRバス)のバス専用道として利用されていたが、旅客の減少や並行する国道168号の整備により現在は廃止されている。

 建設された区間にある天辻トンネル(全長約5km)は、大阪大学核物理研究センターの観測施設、大塔コスモ観測所として利用されている。宇宙からやってくる素粒子のひとつであるニュートリノを観測している。ニュートリノの観測では、ノーベル物理学賞を受賞した小柴博士のカミオカンデが有名だ。

 また、建設区間は「旧国鉄五新線(未成線)鉄道構造物群」として、土木学会により平成28年度選奨土木遺産に選出されている。

戦前のアーチ橋が残る今福線

広浜鉄道今福線(画像:(C)Google)
広浜鉄道今福線(画像:(C)Google)

 今福線は、広島と浜田を結ぶ広浜線の、島根県側のルートとして建設された。1933(昭和8)年、山陰本線下府駅から石見今福駅間が着工し、1940年にほぼ完成するも、戦争により建設が中止された。

 戦後になって広浜線の建設が再開されるも、ほとんど完成していた今福線とは別に、山陰本線浜田駅を起点とする今福新線が建設されるという奇異な経緯をたどっている。しかし、その今福新線も国鉄再建法により凍結された。

 現存する構造物の中には、現在も県道の一部として利用されているものや、上府第一トンネルのように市道として利用されていたものもある。また、アーチ橋梁群は、「今福線のコンクリートアーチ橋群」として、土木学会により平成20年度選奨土木遺産に選出されている。

 今福線は、土木学会の選奨土木遺産のコメントにもあるように、歴史的、技術的な価値だけでなく、未完成に終わった鉄道のコンクリートアーチ橋が一群として現存し、山あいの景観に溶け込んでいる美しさが特徴だ。地元の浜田市も観光資源として活用しており、浜田市観光協会の公式サイトでも、見学ガイドがアップされている。

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