郊外だけじゃない! 近年増加の都市型「道の駅」とは何か
地域の定番観光拠点施設

道の駅は幹線道路沿いに位置し、その地域の特産品を購入したり、その地域ならではの食事ができたりと、地域の定番観光拠点施設として利用されている。
立地している場所は観光地や、観光地へのルートの途中で、都市部から離れた里山とか、海沿いとか、周りにはあまり住宅地や商業施設などがない場所という印象が強い。しかし、近年は住宅地に比較的近い立地に開発される「都市型」の道の駅と呼ばれるような施設が見られるようになってきている。
いくつか事例をあげると、道の駅さかい(茨城県境町)は国道354号線沿いに位置する道の駅で、観光地と言うよりは比較的住宅地に近く、都市部からの日常的な利用も見られる施設だ。
道の駅自体は1996(平成8)年のオープンだが、2019年には隈(くま)研吾が設計したモダンな外観の食のスポット「茶蔵」がオープンしている。茶蔵内の「さかいキッチン DELICA」では、境町の野菜を使ったサラダを中心に常時30種類以上の総菜を取りそろえ、発酵をキーワードにしたメニューを量り売りで販売。そのほかにもステーキ専門店「SAKAI TEPPAN」、「さしま茶サロン」(現在休業中)、生ハム工房、茶葉栽培室などがある。
道の駅本体も、境町の特産品のサンドイッチ「さかいサンド」や「さかい河岸ブルワリー」が人気で、首都圏から車で買い求めにくる利用者もいる。また、2020年8月には道の駅ゆいゆい国頭(沖縄県国頭村)と友好交流協定を結び、国頭村のアンテナショップ・沖縄県国頭村公設市場をオープンしている。
都心に一番近い道の駅

2018年4月にオープンした道の駅いちかわ(千葉県市川市)は国道298号線沿いで、都心に一番近い道の駅だ。市川市のシティセールスの拠点として位置付けられており、さまざまな人が参加可能な市川市のアンテナショップを目指している。
「メルカートいちかわ」は市川市内の野菜や果物や地元食材を使用した加工品、千葉県内の地酒などの販売を行う。また、新米フェア、落花生フェア、千葉県内の道の駅とコラボした「秋の収穫祭」などさまざまなフェアを開催している。
飲食店は日本橋にもある本格イタリアン「アルポンテ」の姉妹店「トラットリア・アルポンテ」が出店。さらにキッチンカーが出ることもある。「いちcafe」ではブレンドコーヒー講座を開催。
そのほかにもヨガやバレエ、カルトナージュ、子ども向けのヒップホップダンス、イラスト教室などアクティビティを多く用意している。年間利用者数約100万人を集める人気施設だ。