郊外だけじゃない! 近年増加の都市型「道の駅」とは何か

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地域の定番観光拠点施設として利用されている道の駅だが、近年、住宅地に比較的近い立地に開発される「都市型」が増えている。いったいなぜか。

八王子にある都市型の「道の駅」

東京都八王子市にある「道の駅八王子滝山」(画像:(C)Google)
東京都八王子市にある「道の駅八王子滝山」(画像:(C)Google)

 都内唯一の道の駅・道の駅八王子滝山(東京都八王子市)は東京都道169号渕上日野線(新滝山街道)沿いの道の駅だ。

 他の都市型道の駅と比較すると、外観や店舗構成は一般的な道の駅に近いが、観光客だけでなく、地元住民の集客を念頭においた都市型道の駅を掲げて、2007(平成19)年にオープンしている。

 農業直売所の「ファーム滝山」、地元の農家の妻たちが作る昔ながらの味付けの総菜店「はちまきや」をはじめとして、八王子の牛乳を使った「ミルクアイスMO-MO」、和カフェ「滝山茶屋」、八王子自社製麺所直送のそば・うどんや、八王子ラーメンなどを提供するフードコート「彩食庵」、特産品販売コーナー、交流ホールなどから構成される。交流ホールでは無料のコンサート、体験教室といったイベントも随時開催されている。

都市近郊の道の駅の特徴

道の駅で買い物をする人のイメージ(画像:写真AC)
道の駅で買い物をする人のイメージ(画像:写真AC)

 このように、都市近郊の道の駅には人気レストランやデーリーフード系テナントが出店したり、多彩なアクティビティが導入されたりして、一般的な道の駅とはやや異なる施設構成となっている。

 また、立地している地域だけではなく、道の駅の全国に延びるネットワークを生かして他のエリアの特産品を販売する取り込みも見られる。観光施設というよりは

「都市生活者の日常的な利用を考慮した施設」

といった構成になっており、農業に特化した複合商業施設といった感がある。

 実際、観光客というよりも地元や近隣都市からの日常的な利用が多い。都市部には食の安心・安全に関心の高い層が多いことから、ニーズが高い施設と言えるだろう。

 道の駅はJAが指定管理者として運営している施設が多いこともあり、産直施設が導入されたり、6次化による地元農産物の加工品が販売されたりして、地域の農業振興の役割を担っている。農業振興の視点で考えれば、マーケットが大きい都市部近郊に出店することは販売促進の意味から意義が大きい。都市部には有機野菜や加工品など比較的割高な商品でも購入したいと考える層も存在している。

 また、近年は都市型農業も重視されていることから、地産地消の意味でも都市部への出店は意味があると言えるだろう。

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