宅配だけではない! 今後の物流事業のカギとなる「超低温」をご存じか
「超低温」とは何か

物流ビジネスの最先端は、言うまでも消費者領域の宅配便だ。宅配便は相対的に高収益事業だが、一方、その競争は実に熾烈(しれつ)だ。
そんななか、物流ビジネスで注目されているのが「低温物流」だ。本媒体で7月25日に配信した「宅配だけではない! 今注目すべき物流事業の『宝の山』とは」で超低温にざっと触れたところ、多くの反応を得たので、今回は詳しく書く。
低温と一口にいっても区分はさまざまで、近年では新型コロナワクチンの
「マイナス70度保管」
で、新たな需要が生まれた。これを特に「超低温」と呼ぶ。冷蔵倉庫業界の定義に従えば、超低温とはマイナス50度以下を指し、食品では冷凍マグロが代表的だ。さらには制がん剤を始めとする医薬品、ハイテク部材などがこの対象となる。今後の焦点になるのはこの領域だろう。
温度帯を大きく見ると、
・冷凍
・チルド
・常温
となるが、実は商品ごとに適温範囲が異なり、さらに細かく区分される。
もちろん、温度帯が下がるほど設備投資率は高くなるため、運営コストがかさみ、どう効率化するかが大きな課題となる。また、低温物流には資源消費や環境負荷といった課題もある。
超低温より低い「極低温」

超低温よりもう一段低い温度帯は
「極低温」
と呼ばれる。ここまでくると、低温環境を作るというより、物性そのものが変化する領域だ。
代表的なのは液化天然ガス(LNG)で、マイナス162度で液化保存されている。さらに低いマイナス273度(絶対零度)では電気抵抗がゼロとなり、強い磁場が形成される。これを使ったいくつかのハイテク技術が既に実用化されている。環境負荷の少ない燃料としての利用が拡大しており、燃焼のため気化させるとき、膨大な冷熱エネルギーが生じる。
現在、その一部は
・冷凍食品製造
・冷蔵倉庫
へ活用されているが、備蓄タンクが消費地から離れた海浜部に立地しているため、主に海水との熱交換で多くが未利用のままとなっている。本来なら、火力発電所(天然ガス)と冷凍食品製造、冷蔵倉庫が集積されるのが理想だが、現状をこのまま放置しておく手はない。