止まらない物価高騰 元凶は「物流費」なのか? 業界にまん延する「物流 = コスト」という浅すぎる理解

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商品の値上げの元凶と見なされているのが物流費の高騰だ。その背景には何があるのか。

遅すぎた「共同化」への対応

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 最近、さまざまな商品が値上げされているが、元凶のひとつと見なされているのが物流費の高騰だ。日本ロジスティクスシステム協会が公表している、2021年度物流コスト調査の売上高物流コスト比率は、全業種平均で5.70%(前年度比0.32ポイント増)となっている。

 これが値上げの大きな理由なのだろうか。調査のなかには、「物流コスト適正化への効果が大きかった施策と実施予定の物流施策」として、

・輸配送の共同化
・物流拠点の共同化

との意見もあった。しかし、筆者(野口英雄、物流コンサルタント)は問いたい。

「なぜ、共同化にもっと早くから取り組まなかったのか」

と。

 把握されている物流費は、そのほとんどが支払い物流費(外注先に支払っている倉庫賃料や輸送運賃などの合計)といった顕在化部分であり、あくまで氷山の一角にすぎない。

 例えば、商品廃棄費用は雑損として処理され、生産・販売費用のなかにも物流費は含まれている。コストへの把握がこの範囲ならば、経営にとってあまり大きな負担ではなく、単に外注費用として、物流事業者への圧力になるだけの話だ。

オイルショックの記憶

売上高物流コスト比率の推移。全業種(画像:日本ロジスティクスシステム協会)
売上高物流コスト比率の推移。全業種(画像:日本ロジスティクスシステム協会)

 1970年代に発生したオイルショックでは、原油価格が一気に4倍程度に跳ね上がった。そして、燃料価格が大きな負担になったこともさることながら、トラックそのものがチャーターできなくなった。

 千載一遇のチャンスとばかりに、業界は物流費の値上げにまい進したが、またすぐに厳しい経営へと戻ってしまった。そして、規制緩和により事業参入へのハードルは下げられ、価格競争は一段と厳しくなった。その結果、

「物流管理 = コスト管理」

という浅い理解が根付いてしまった。

 物流コストはあくまで効率を図る上での「尺度」であり、対策の本質はその発生源を抑制することだ。しかし、支払い物流費を削減することが主流となり、今日に至っている。

 物流とは「物流システム」であり、その仕組みを変えない限り、コストは低減できない。物流アウトソーシングや子会社化に頼り切ってきたのも、決して王道とは言えないのだ。

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