最強企業「GE」はなぜ崩壊したのか? 「選択と集中」が生んだ誤算、その盛衰史をたどる
ウェルチからイメルトへ

特にウェルチが重視したのが航空機エンジンや発電所のタービン、医療機器など、売って終わりではなく、長期のメンテナンスが必要なタイプのものだった。テレビや冷蔵庫などの家電製品は、成長してきた日本メーカーと消耗戦を繰り広げる必要があったが、航空機エンジンや発電所のタービンは、売ったときは赤字であっても、長期のメンテナンスで確実に利益が上がるものだった。
さらにウェルチの好業績を支えたのが、金融会社のGEキャピタルだった。GEキャピタルが利益を上げられたのは、GEのトリプルAの格付けを利用して低い金利で資金を調達し、それをさまざまな分野に投資できたからだ。
このGEキャピタルのもたらす利益が、GEの増収増益を支えた。うまく利益が上がらないときはGEキャピタルがその資産を売って利益を出し、GEの好決算を演出したのだ。
2001年に退任したウェルチから後継者に指名されたのがイメルトだった。イメルトはGEプラスチックやGEメディカル・システムズ(現GEヘルスケア)のCEOを歴任し、2001年9月7日、45歳にしてウェルチの後任としてGEのCEOとなった。
ところが、その4日後、GEは9.11テロという予想外の危機に襲われる。イメルトは事件の数週間後に
「私がつくったエンジンを搭載した、私がリースした飛行機が、私が保険を引き受け、私が所有するネットワークが張り巡らされているビルに墜落した」(70ページ)
と述べているが、イメルトの経営はいきなり大きな打撃に見舞われたのだ。
また、イメルトにはウェルチに負けない業績を上げつつ、GEというコングロマリットをより時代にあった形に再編していくというミッションも課されていた。
そのためにイメルトはマーケティングに力を入れ、あらゆるテレビCMに使ってきたタグライン「いいものはいつもGEから(We Bring Good Things to Life)」を
「GE―創造するイマジネーション(GE:Imagination at Work)」
に変更し、ロゴも修正した。
さらに巨大な買収を繰り返したが、イメルトは買収先を高い価格でも買ってしまうという癖があり、必ずしも成功したとは言えなかった。