NEXCOが描く「次世代高速道路」が実に興味深い! 「快適さ」から「エンタメ」まで網羅したその中身とは?

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日本初の高速道路が全線開通してから半世紀以上。進化する自動車の性能・機能に対して、高速道路はどうあるべきか。NEXCO東日本がまとめた「構想」を基にその姿を探る。

「108」の具体施策とは何か

日本の高速道路のイメージ(画像:写真AC)
日本の高速道路のイメージ(画像:写真AC)

 特に今と大きく違うのは、車線別料金、自動運転料金、次世代車両料金、ダイナミック(変動という意味)プライシングだ。

 柔軟な料金形態とはこのことで、高速性・定時性・快適性・利便性に関わる部分と解釈できる。

 これは、車線別の速度制限を実施し、追越車線を割高運用などで車線利用の均一化を図るもの。自動運転車両の普及のため、自動運転車両に対して柔軟な料金設定をする。EV・FCV車両についても同様。時間帯や季節、需要などによって料金を変化させるといったものだ。

 それだけでなく、自動運転車に限定した速度上限の緩和、一般、物流、バスなどの別々に走行レーンを設定するなどの運行管理。降雨・降雪時に通行止めが必要な場合でも、より安全な自動運転車は通行止め対象外とするといったことも考えられている。

 また、黄色の点検用新幹線ドクターイエローのように、高速道路版ドクターイエローという移転兼車両の導入で、効率化・高度化を図るとしている点にも注目したい。

 これらV2Xという車両間通信、車両と道路の通信機能で、情報が共有されることになる。それに対し、セキュリティ対策は、必須の要項でそれに関しても言及している。

次世代高速 車だけでは成り立たない

 次世代高速道路は、最高速度制限120km/h区間の設置がされたように、実証実験などが行われることになると予想される。そして、実証実験で生まれる結果や意見はその後の未来を左右する。

 次世代高速道路が目指す未来は、自動運転などの技術が自動車だけでは成り立たない証明となっている。道路づくりだけでなく、エネルギーを含めた社会・法律・国民の認識、それらがともに深化したときにこそ、真の完成に至ることを物語っている。

 それは、歴史ある「東京モータショー」の名称が2023年から「JAPANオールインダストリーショー」と変更されることとも関連していると言えるかもしれない。

 自動車が、自動車だけでなく工業・通信技術が集結したものの象徴となりえるものを目指している、ということの証明なのではないだろうか。