京葉線新駅「幕張豊砂」来年春に開業 白紙寸前の建設計画を甦らせた小売最大手の政治力とは

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2023年春、千葉市美浜区に誕生するR東日本の新駅「幕張豊砂駅」。同駅が造られることとなった背景と歴史をご存じか。

「幕張新都心ゲートウェイ駅」だけはゴメンだ

幕張豊砂駅の建設予定地(画像:深川孝行)
幕張豊砂駅の建設予定地(画像:深川孝行)

 JR東日本の新駅「幕張豊砂駅」が2023年春、千葉市美浜区に誕生する。JR京葉線の新習志野駅~海浜幕張駅間(約3.4km)のちょうど真ん中、両駅からそれぞれ約1.7kmの地点だ。一帯はいわゆる「東京湾岸エリア」で、1960~1970年代に埋め立て造成された広大な土地が広がる。

 京葉線の南側(海側)一帯は大きな道路が整然と通り、駅の目の前には“巨艦”イオンモール幕張新都心がそびえ立つ。周辺には物流センターやロードサイド型の大型店、大学、病院などが建つが、厳格な都市計画によりマンションや戸建てなど住宅はない。駅の西隣は習志野市で、東に巨大展示場・幕張メッセを望む。また北側(山側)にはJR東日本の車両基地(京葉車両センター)が存在する。

 新駅の構造は珍しく、上り線(海側)ホームが高架上に、また下り線(山側)ホームは地上という変則の2面2線式だ。京葉車両センターからの引き込み線をまたぐため、上り線1本を高架にしている。駅舎は南側だけで駅前広場用のスペースも広く確保済みだ。なお、1日当たり利用者数は1万6000人を見込んでいる。

 なお幕張豊砂駅の名は2021年10月に公募で選ばれており、JR東日本の駅名公募は2020年3月の高輪ゲートウェイ駅(JR山手線/京浜東北線)に次いで2回目となる。

 その高輪ゲートウェイ駅は2018年12月に決まったが、このとき、熊谷俊人・千葉県知事はSNSで

「幕張新都心の新駅は間違っても『幕張新都心ゲートウェイ駅』とならないようにお願いします」

と、冗談交じりでつぶやき、ちょっとした話題となっている。

 と言うのも、新駅の名称募集は2021年6月にスタートし、約1万5000件が集まったのだが、

1位:幕張新都心(約1900件)
2位:新幕張(約500件)

に続いて、幕張ゲートウェイが何と約300件で3位に食い込んだからだ。一方、選ばれた幕張豊砂はずっと下位の13位(約100件)に過ぎなかった。

 これに関して「必ずしも得票数上位が採用されるわけではない」とJR東日本側は説明するが、熊谷知事のつぶやきによるアナウンス効果が逆に功を奏し、「幕張新都心ゲートウェイ駅」に決まる可能性もゼロではなかったかもしれない(もちろんその際は知事などが却下するはずだが……)。

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