京葉線新駅「幕張豊砂」来年春に開業 白紙寸前の建設計画を甦らせた小売最大手の政治力とは

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2023年春、千葉市美浜区に誕生するR東日本の新駅「幕張豊砂駅」。同駅が造られることとなった背景と歴史をご存じか。

JR東日本は「二匹目のドジョウ」に警戒か

幕張豊砂駅の建設予定地(画像:深川孝行)
幕張豊砂駅の建設予定地(画像:深川孝行)

 苦節30余年の幕張豊砂駅だが、一方でいくつか懸念も指摘されている。

 例えば、新駅の北側(山側)の京葉車両センターをまたいで南北に架けられる歩行者・自転車専用橋「自由道路」(全長約150mで屋根付き、エレベーター2基)も並行して建設、が当初予定だった。ところが建設費が約50億円と高額な反面、想定利用者が約1000人/日と極めて少なく、加えてその後に予期せぬコロナ禍への対応で県や市などの財政も逼迫したため、見直しの声が出始めているのだ。

 このため、現在は駅建設を最優先にして自由通路は後回し、という状況となっているが、もしかしたら跨線橋をより簡便なものにして建設費を圧縮したり、さらには計画そのものを「塩漬け」にしたりするかもしれない。

 一方、千葉県ではこのほかにもJR東日本線での新駅構想がいくつかあり、

・寒川新駅(仮称):京葉線千葉みなと~蘇我間(旧川崎製鉄所跡地に「フェスティバルウォーク蘇我」など大規模商業施設が出現し最寄り駅として期待)
・千駄堀駅(同):武蔵野線新八柱~新松戸間(地域の活性化を図るため周辺で大規模宅地開発を構想)

などが著名だ。

 そこで今回の幕張豊砂駅の成功に味を占めた格好で、千葉県などの地方自治体や周辺住民などが“二匹目のドジョウ”とばかりに、「オラが町にも駅を」と訴え始め、これに政治家などが暗躍し、収益性無視の強引な新駅建設運動へと発展しないだろうか――と、すでにJR東日本側は警戒し、

「あくまでも受益者負担」

の原則を崩さない構えらしい。

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