輸送密度を狙い撃ち ローカル線存廃で「沿線自治体」に責任を押し付ける国の愚行とただよう今更感

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全国の赤字ローカル線が危機にひんしている。この状況を打開するためには、まず何が必要なのか。

「自分ごと」してこなかったツケ

「地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言」(画像:鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会)
「地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言」(画像:鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会)

 この提言は冒頭に、

「特にJR旅客各社のローカル線区については、1987年の国鉄の分割民営化以降、新幹線や都市部の路線、関連事業等で得た利益からの内部補助により支えられてきており、国鉄改革から35年間もの月日を経た今まで、利用者の減少を主たる理由として廃止に至ることは、比較的抑えられてきたと言える」

と書いた上で

「人口減少時代に相応しい、コンパクトでしなやかな地域公共交通に再構築していく、という観点から地域モビリティの刷新に取り組んでいくべきである」

 としている。言葉を選んではいるものの、赤字ローカル線の廃止・バス転換を含めた議論を促す意図が見える。

 とりわけ提言の「ローカル鉄道を取り巻く現状」では、2001(平成13)年に示された

「国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえて現に営業する路線の適切な維持に努めるものとする」

とする国土交通大臣指針を記しているものの、民営化後のJR各社が、不動産・流通などの関連事業による内部補助構造を持ってきたことでローカル線の厳しい状況が顕在化せず

「関係者が「自分ごと」として強い危機感を抱くことが少なかった」

としている。

 さらに、地方自治体に対してもJR各線の問題に取り組んで来なかったことを、こう記している。

「地域鉄道、バス等と異なり、これまで多くの沿線自治体にとって財政支援を含め、自分事として捉える対象とはされてこなかったという事情もあると思われる」

 提言では「再構築の事例」として

・第三セクター化
・分社化
・上下分離
・次世代型路面電車(LRT)化
・ふるさと納税制度を活用した支援

など、さまざまな事例を提示している。しかし、いずれにしても現状維持を認めず、沿線自治体と鉄道事業者(主にJR)に検討を促す意図が見える。

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