モラル低下だけじゃない! 「救急車」を邪魔するドライバーが近年増えているワケ

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救急車の通行を妨げてはいけない、といったことが近年無視されるようになった。いったいなぜか。そこには、ドライバーのモラルだけではない実情があった。

高くなった車の「遮音性」

車の窓ガラス(画像:写真AC)
車の窓ガラス(画像:写真AC)

 まず、車の遮音性が非常に高くなったことにある。一例としては高遮音性ガラスがある。

 車の進化とともに、プライベート空間としての活用が重視されるようになったため、いわゆる走行音などのロードノイズはもちろん、車外の音そのものを遮蔽(しゃへい)する仕様が重視されるようになった。

 上級グレードにはこの高遮音性ガラスが設定されている車種があり、従来の単層ガラスのような単板ではなく2枚のガラスを貼り合わせている。高級車ともなるとその2枚の間にさらに音を軽減する特殊フィルムを挟んでいる場合もある。遮熱効果やガラスを割っての盗難などの防犯目的もあるのだが、基本的には車内音の外漏れ、車外音の遮断が目的だ。

「救急車が来たことに気づかなかった」

 故意の場合もあろうが、実のところ、このような遮音性の向上も「なぜ止まらないのか」の理由だろう。

 高遮音性ガラスでなくとも、ガラスの厚みは昔の車に比べれば厚くなっている。この場合は物理的に音漏れ、車外音を軽減する。どのグレードであれ、昔に比べれば車内は静かになった。

 これによって救急車のサイレンが聞こえにくくなり、うっかり救急車を妨害してしまうことになる。結果、救急車の病院到着が遅れる、救急搬送者の容体に影響する、といった悪循環となっている。

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