廃棄物か?資源か? 世界3位の海運会社が「プラごみ」輸送中止宣言、でも同業他社ドッチラケな理由

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フランスの海運大手CMA-CGMが1日から、プラスチックごみの海上輸送を止めると発表した。プラスチックごみの輸出規制に関するバーゼル条約に基づいた措置。欧州からアジア・アフリカまでといった発展途上国への輸送を止めると発表している。

そろわない海運会社の足並み

プラスチックごみの海上輸送を止めると発表したCMA-CGMのウェブサイト(画像:CMA-CGM)
プラスチックごみの海上輸送を止めると発表したCMA-CGMのウェブサイト(画像:CMA-CGM)

 海運業界において世界第3位の規模を誇る同社の動きに対し、他の海運会社は冷ややかな視線を送っている。

 世界第5位のコンテナ海運会社であるHapag-Lloyd(ドイツ)は、

「重要なのは、海運会社が輸送を止めることではなく、資源の有効利用とリサイクル管理ではないか」

と反応している。海運業界のリーダー的存在であるMSC(スイス)も、プラスチックごみを合法的な貨物とみなしている。

 また、ドイツの廃棄物処理業界の団体であるBundesverband der Deutschen Entsorgungs-, Wasser- und Rohstoffwirtschaft e.V.(BDE、ドイツ廃棄物処理・水・原料工業会)の広報担当者は、「廃棄物は、リサイクル原料であり、貿易商品である」と述べている。
 確かに、リサイクルに適したプラスチックごみだけが輸出され、かつ受け入れた国において適切にリサイクルされていれば、それは商品であり合法的な貨物である。しかしながら、歯磨き粉のチューブや食品の包装など、家庭から出るプラスチックごみをリサイクル可能なレベルまで分別することは、ほとんど不可能といわれている。このようなプラスチックごみまで貿易商品というには、無理がある。

 プラスチックごみをリサイクル資源として輸出する国があるかぎり、海運会社が足並みをそろえてプラスチックごみの輸送を止めることは難しいだろう。

プラスチックごみの輸出を制限するバーゼル条約とは

プラスチックごみのイメージ(画像:写真AC)
プラスチックごみのイメージ(画像:写真AC)

 リサイクルに適さないプラスチックごみの輸出については、バーゼル条約において規制されている。

 バーゼル条約の正式名称は、「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」といい、有害廃棄物による環境汚染の防止に向けて、1989年3月にスイスのバーゼルで作成された。1992年5月5日に効力が発生し、2019年12月現在の批准国は186か国、欧州連合(EU)およびパレスチナであり、もちろん日本も批准している。

 プラスチックごみは、元々はバーゼル条約の対象外であった。しかし、プラスチックごみを輸入した国で、リサイクルの過程において不適切に処理されて環境汚染を引き起こしていることが問題視されたのである。

 プラスチックごみの問題に対処すべく、バーゼル条約第14回締約国会議(COP14)において、プラスチック廃棄物を新たに条約の規制対象に追加する条約付属書改正が決議された。改正付属書は、2021年1月1日より発効している。

 ただし、バーゼル条約は、プラスチック廃棄物の輸出を禁止しているのではない。廃棄物を輸入する国の書面による同意を求めているのである。輸出国と輸入国が合意すれば、プラスチック廃棄物の輸出は可能であり、海運会社がいう「合法的な貨物」になってしまう。

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