増え続ける「新モビリティ」と歩行者は共存できるのか そもそも街の主役は誰? 阪急バス「シニアカー乗車OK」で考える
モビリティの進化や普及に伴い、高齢者・障害者の外出ハードルは低くなった。その一面で、歩行者や自転車などとの今後の共存が問われている。
電動車いすの最高時速は6kmまで

きたる参議院議員選挙が、少しずつ盛り上がりの様相を見せている。特に、東京選挙区は定数6ということもあり、2022年初頭までは無風選挙になるのでは? との予測が強かった。しかし、ゴールデンウィーク前後から立候補を表明する人が続々と現れ、一気に激戦区と化した。東京選挙区から出馬を表明した候補者のひとりに、作家の乙武洋匡(ひろただ)さんがいる。著書『五体不満足』がベストセラーになった乙武さんは、生まれながら四肢欠損というハンディを負う。そのため、移動はもっぱら電動車いすに頼っている。電動車いすといっても種類は豊富にある。乙武さんが乗用する電動車いすは高性能で、それを街で見かける機会は少ない。しかし、タイプは異なるものの、少しずつ電動車いすを目にする機会は増えている。
また、高齢者や障害者が外出時に使用するシニアカー(メーカーによっては、セニアカーなど呼び方は異なる)も普及が進み、着実に利用者は増えている。こうしたモビリティの進化や普及に伴い、高齢者・障害者の外出ハードルは低くなった。
電動車いすやシニアカーは、運転免許を必要としない。自転車やリヤカーは法律で軽車両に分類されるが、そうした軽車両にも属さない。電動車いすとシニアカーは、ともに最高時速が6kmまでしか出せないように決められている。そうした最高時速の観点から、街では歩行者と同等に扱われる。