増え続ける「新モビリティ」と歩行者は共存できるのか そもそも街の主役は誰? 阪急バス「シニアカー乗車OK」で考える
モビリティの進化や普及に伴い、高齢者・障害者の外出ハードルは低くなった。その一面で、歩行者や自転車などとの今後の共存が問われている。
街の主役は誰なのか

自治体や警察などの行政機関は以前より、交通安全や渋滞緩和といった観点から歩車分離に取り組んできた。高度経済成長期にマイカーが増えると、街は自動車を中心にした整備が進められていった。
自動車中心のインフラ整備は、例えば道路の拡幅が進められると同時に、立体化の名目で歩道橋や地下道などが次々と建設されていった点があげられる。一方、歩行者の利便性は後回しにされた。
2000年代に入ってバリアフリーが重要視されると、ようやく歩行者の利便性が配慮されるようになる。バリアフリーの観点から、段差などがある歩道橋や地下道は廃れていった。約20年の歳月を経て、道路を含む一連のインフラ整備は誰が街の主役なのか? を行政に問いかけることになった。
道路関連のインフラは新たな問題に直面し、そのたびに解決が模索されてきた。いうならば、トライアンドエラーを繰り返しながら段階的に深化を遂げてきたといえる。
東京都で例示すれば、2014年に誕生した舛添要一都知事の掛け声で自転車道の整備が進められた。それまで自転車は、歩行者でも自動車でもない曖昧な位置付けにあった。こうした曖昧な存在だったため、歩道を走るべきか自動車道を走るべきなのかで判断が迷うケースが多かった。
舛添都政では自転車専用道の整備に乗り出すが、用地の問題から簡単に道路の幅員を広げて自転車道を確保することは難しかった。自動車専用道を確保すれば、そのかわりに歩道や車道が削られてしまう。これでは歩行者の安全が脅かされる。それは避けなければならない。暫定的な措置として、車道の隅に青色に塗られた自転車専用通行帯が整備された。
自転車専用通行帯を設けられない道路に対しては、路面に自転車ナビマーク・自転車ナビラインを表示することで自転車の走行路を確保した。