インドネシア新首都建設 移転先の「カリマンタン島」を巡る鉄道計画をご存じか

キーワード :
, ,
インドネシアの首都がジャカルタからカリマンタン島に移転する。法案も国会で可。今後、同国はどのように変わるのだろうか。

新首都の名称は「ヌサンタラ」

ジャカルタ郊外を行く国鉄(KAI)の通勤鉄道。一歩、郊外に出ると高層住宅は非常に少ない(画像:高木聡)
ジャカルタ郊外を行く国鉄(KAI)の通勤鉄道。一歩、郊外に出ると高層住宅は非常に少ない(画像:高木聡)

 インドネシアの首都移転――ついに来たかという印象だ。

 2022年1月18日、首都移転法案が国会で可決され、新首都の名称は「ヌサンタラ」と決まった。新首都はカリマンタン島東カリマンタン州の州都サマリンダと、石油で栄える港湾都市バリックパパンの中間付近の内陸部に位置し、ジャングルを切り開いて造成される。

 インドネシア初の「平民宰相」とも言えるジョコ・ウィドド(以下、ジョコウィ)大統領は、高速道路、鉄道、空港、港湾と言った、目に見えるインフラ整備を急ピッチで進めてきた。その集大成が首都移転である。ジョコウィ大統領任期の最後の年、2024年には一部機能の移転が始まる。国家的英雄・スカルノ初代大統領が成し遂げ得なかった首都移転を実現し、歴史に名を刻むこと、ジョコウィの野望と言っても過言ではないだろう。

 新首都ヌサンタラは、総開発面積は25万6142ha(都心部:KI-IKNが5万6180ha、官庁地区:KIPPが6596ha)と、最終的には東京都の面積に匹敵する広さとなる。移転にかかる費用は486兆ルピア(約4兆2450億円)と試算されているが、国家予算で賄うのは19%のみ。他は官民連携(PPP)などの民間投資で賄う計画である。

 PPP方式による国家的プロジェクトと言えばジャカルタ~バンドン高速鉄道であるが、当初予算で85兆ルピアであり、首都移転計画の大きさがわかると同時に、果たして、この486兆ルピアは、単純に国会や官庁、大統領宮殿の移転費用しか含まれていないのか、それとも社会インフラ整備まで含まれているのかも未知数である。

 とは言え、なるもならぬもインドネシアだ。よそ者たる日本人が首都移転の是非を議論するのはナンセンスである。ここでは、都市・交通開発の面から首都移転の経緯、そして、新首都の鉄道を中心とした公共交通政策を「新首都に関する法律2022年第3号」、および運輸省「新首都における交通開発計画」、国家開発企画庁「首都移転計画」に基づき見てゆくこととする。