6月から爆上げ「燃油サーチャージ」 そもそもなぜ変動するのか? 改めて解説する

キーワード :
, , , ,
国際線航空券にかかる燃油サーチャージの大幅な引き上げが発表された。タイやマレーシアで現行の9800円から1万9600円に、ハワイで1万2700円から2万3600円になる。

航空会社にも乗客にも「ありがたくない」

ピーチ・アビエーション(Peach)の機体(画像:シカマアキ)
ピーチ・アビエーション(Peach)の機体(画像:シカマアキ)

 あえて「燃油サーチャージを徴収しません」とアピールする航空会社もある。特にその傾向がよく見られるのは、格安航空会社(LCC)である。

 LCCは、大手航空会社以上に運賃に対してシビアだ。LCCは従来から「運賃の安さ」を売りにしており、国際線で数千円というのも珍しくない。これに燃油サーチャージとして数千円が加算されると、顧客へ急に高額な印象を与えてしまう。燃油サーチャージを航空会社が負担する、あるいは最初から航空券にある程度加算して販売するほうが、購入側もお得に感じる。

 航空券への割り増し感をなんとか払拭(ふっしょく)しようと、LCC各社が対策を取るほど、購入側の燃油サーチャージへ抱く印象は良くなくなる。

 特に、現在の日本はコロナ禍で景気低迷し、経済活動も停滞気味。加えて、国際線で運航再開が遅れていることで、航空券の運賃は高止まり状態だ。円安における現地滞在費のひっ迫も、マイナス材料のひとつとなっている。

 そんななかで、今回の燃油サーチャージの急騰だ。タイミングが悪いと言えばそれまでだが、海外渡航の本格再開の足かせになりかねないだろう。

 とはいえ、コロナ禍で航空会社の経営は非常に苦しく、原油価格高騰分を自己負担できるほどの余裕はない。原油価格はいずれ下落すると見られているが、それがすぐのことなのか、数年後のことなのかは、それは誰にもわからない。

全てのコメントを見る