「100円稼ぐのに2万円」の衝撃! 赤字ローカル線を揺るがす「維持か廃止か」、その先にある地殻変動とは

キーワード :
,
30年で1366kmの鉄路が消え、100円の収入に2万円の経費を要する地方路線が臨界点を迎えている。名鉄等の事例が示す維持限界を前に、もはや「存廃」の二項対立は意味をなさない。自動運転やAI、BRTを融合させ、持続可能な「統合型モビリティ網」へ地域インフラを再編する足し算の変革に迫る。

生活圏へ歩み寄る車の機動力

 こうした流れのなかで、ひとつの形を示したのが2023年に開業した、JR九州バスが運営する日田彦山線BRTひこぼしラインだ。

 この路線がもたらしたのは、鉄路の時代には難しかった運行経路の柔軟さである。BRTは専用の道だけでなく一般の道路もそのまま走ることができる。その利点を生かし、病院や学校、買い物をする場所の前に合わせて36の乗り場を設け、生活の場へ直接行き来できるようになった。決まったレールの上しか走れない鉄道には真似できない、車ならではの良さが生きている。

 これまでの鉄道は「駅まで人が来る」のが当たり前だった。しかし、車の機動力を取り入れた仕組みは人が集まる場所のほうへ近づいていける。インフラの側から住民の生活圏へ歩み寄る形をつくったことで、使い勝手はぐっと良くなった。

 実際、開業したあとの1日平均の乗客数は約270人を数え、鉄道時代を上回る水準を記録している。たんに効率よく人を運ぶだけでない、地域の暮らしに寄り添う移動手段へと姿を変えた。この事実はデータやデジタル技術の活用がもたらす新しい交通の可能性を物語っている。

 地方の交通網を守るうえで本当に大切なのは、昔ながらの固定された形にこだわることではなく、移動という機能そのものを日々の暮らしに合わせて維持していくことではないだろうか。

全てのコメントを見る