「100円稼ぐのに2万円」の衝撃! 赤字ローカル線を揺るがす「維持か廃止か」、その先にある地殻変動とは

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30年で1366kmの鉄路が消え、100円の収入に2万円の経費を要する地方路線が臨界点を迎えている。名鉄等の事例が示す維持限界を前に、もはや「存廃」の二項対立は意味をなさない。自動運転やAI、BRTを融合させ、持続可能な「統合型モビリティ網」へ地域インフラを再編する足し算の変革に迫る。

鉄路が直面する経済的限界

線路補修工事(画像:写真AC)
線路補修工事(画像:写真AC)

 鉄路をいかに残すか、あるいは手放すか。議論がここまで切迫している理由は、鉄道特有の固定費の重さに集約される。

 一度レールを敷き、鉄橋やトンネル、信号を整えると、それらの設備は維持し続けなければならない。乗客が何人まで減ろうとも保守にかかる費用はほとんど変わらないため、利用者の減少がそのまま収支の悪化へ跳ね返る。

 実際、JR東日本が公表したローカル線の収支を見ると、輸送密度2000人未満の区間では、100円の運賃収入を得るために2万円を超える経費を費やす例もあった。もはや一時的な赤字という話ではなく、仕組みそのものが限界を迎えている。地方では人口減少だけでなくマイカーの普及が利用離れに拍車をかけた。過疎地へ行くほど

「駅まで自家用車で行く」

というちぐはぐな状況も生まれており、移動手段のあり方を見直す時期に来ている。

 こうしたインフラの限界は、JRだけでなく大手私鉄にも押し寄せている。2026年5月、名古屋鉄道(名鉄)は広見線の新可児駅~御嵩駅間(7.4km)の運行について、事実上の廃止へ向かう方針を明らかにした。

 この区間では、沿線の市や町が設備の維持費を受け持つ「みなし上下分離方式」による存続を模索してきた背景がある。しかし、年間3億4000万円にのぼる自治体側の負担は重く、他の住民サービスへのしわ寄せを避けるために協議は打ち切られた。乗客が増える見込みが立たないうえに、昨今の物価や人件費の高騰が重なったことも影響している。さらに災害が起きた際、復旧費用を自治体がどう工面するかという問題も超えられなかった。

 地域を支えてきたローカル線は、企業の努力や自治体の場当たり的な支援だけでは支えきれず、新しい移動の形へと移り変わる過渡期にある。名鉄広見線の沿線自治体も2028年度末までの運行を要望しながら、バスなどを活用した次の交通網の準備を見据え始めた。設備負担の重い鉄道から小回りの利く自動車の手法を取り入れた仕組みへの移行は、持続可能な地域インフラを各地で模索していくきっかけとなっている。

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