なぜハイブリッド車が欧州新車販売で「34%」を占める事態になったのか? 多様な技術評価への移行が選択肢の広がりを生み出した理由

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「EVか、それ以外か」という不毛な二元論を超え、世界の環境戦略が「適材適所の融合」へと舵を切っている。2025年の欧州市場では、補助金なしのHVがシェア34%で初の動力源別首位を獲得。全工程で環境負荷を測るLCA基準の浸透や、EVの6倍超とされるHVの費用効率を背景に、産業界に技術の最適結合が始まっている。

欧米のEV減速と市場の成熟

自動車の排ガス(画像:Pexels)
自動車の排ガス(画像:Pexels)

 急速に拡大してきたEV市場だが、2024~2025年にかけて欧米の主要市場では販売の伸びが鈍っている。この動きは市場の後退を意味するものではなく、購入者の中心が環境意識の高い初期層から、価格や使い勝手を重視する一般層へ移ったことで生じた変化と見ることができる。評価の軸が新しさから日常での使いやすさへ移ったことで、市場はより広い層へ広がる段階に入っている。

 実際の数字を見ると、市場の主役の変化がより鮮明になる。欧州自動車工業会(ACEA)が発表した2025年の新車販売データによると、HVの販売台数は前年比12%増の456万6850台に達し、19%減の346万7041台へと落ち込んだガソリン車を初めて上回って動力源別で首位に立った。補助金支給の対象外でありながら新車全体の34%を占めており、手頃なエコカーとしてHVが深く浸透している様子がうかがえる。一方、一時期需要が停滞したEVも258万5187台(前年比30%増)と回復の兆しを見せ、シェアは20%に達したものの、価格の高止まりから補助金なしでも選ばれるHVの堅調さが際立つ形となった。なお、プラグインハイブリッド車(PHV)も33%増の127万2901台と大きく数字を伸ばしている

 この需要を巡り、メーカー側の競争の構図にも変化が起きている。これまでHV市場をけん引してきたのは世界で過去最高水準の販売を維持するトヨタ自動車などの日本勢だが、足元では欧州勢の巻き返しが目立つ。特にプジョーなどを傘下に持つステランティスは、低電圧の仕組みを組み込んだHVなどの拡充により欧州でのHV販売シェアを18%に伸ばし、トヨタを上回った。ルノーによる新エンジンの開発や、フォルクスワーゲン(VW)による初のフルHV開発方針の表明など、欧州主要各社が相次いでHVの手当てを急いでいる。これに対し、EV専業の米テスラが販売を27%減らす一方で、中国の比亜迪(BYD)が追加関税の中で3.7倍に急伸するなど、EVプレイヤーの間でも明暗がわかれている(以上、『日本経済新聞』2026年1月27日付け)。

 こうした市場の動きの背景には、利用者の暮らしに即した極めて現実的な判断がある。EVは依然として車両価格が高く、急速充電設備の整備状況にも地域差がある。また、電池の劣化に対する不安も残っている。こうした課題に加え、中古車として売却する際の価値の維持も、個人利用者や多くの車両を保有する事業者にとって重要な判断材料となっている。市場の見方は、将来への期待を重視する段階から、保有費用や利用時の利便性を含めた実際の価値を見極める段階へ移りつつあり、市場全体が次の安定期へと進み始めている。

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