「これ、もう限界じゃないですか?」 食品値上げ減速の裏で進む「物流費要因73.6%」の圧力――供給網に蓄積する静かな危機とは
食品値上げは70品目と4か月ぶりの低水準に減速したが、累計6290品目はなお高水準。前年比6割減の裏で、物流費73.6%・包装資材69.9%が示す構造的コスト圧力は解消していない。
供給網を蝕む三つの重荷と輸送効率の悪化

今の状況を形作っているのは、解消しがたい三つの重荷だ。
まずは中東の情勢に端を発するナフサの供給不安が挙げられる。これが包材の不足を招き、製品を出荷したくともできない事態を引き起こす。次に、1ドル160円に届きそうな円安が輸入にかかる費用を押し上げている。燃料代や車両の部品代が膨らむことで、本来なら将来のために使うべき設備投資の資金が失われている事も忘れてはならない。
そして、エネルギー代や人件費が一度上がると下がりにくいという性質も厄介だ。2026年4月の時点で人件費による値上げの割合は49.4%となっているが、賃金そのものが下がったわけではない。高いまま固まった費用が、企業の稼ぐ力を内側から削り、供給の仕組み全体を動きにくくさせている。
値上げが累計6290品目に減ったからといって、世のなかが良くなっていると考えるのは少し気が早いだろう。原材料費や運び賃が高いままである以上、その重みは外に出ないだけで、組織のなかに溜まっているだけだからだ。
例えば、値段を変えずに中身を減らすやり方は、外箱の大きさが変わらなければ、実質的には空気を運んでいるのと変わらない。これは輸送の効率を落とし、実質的な運び賃をかえって膨らませることにつながる。
また、容器などの資材代が上がり、それを飲み込めない作り手が消えていけば、特定の場所を支えてきた配送のつながりも守りきれなくなるだろう。価格への反映が遅れているツケは、いずれ配送サービスの質の低下や、モノが届かなくなるといった形で私たちの前に現れるはずだ。