「これ、もう限界じゃないですか?」 食品値上げ減速の裏で進む「物流費要因73.6%」の圧力――供給網に蓄積する静かな危機とは

キーワード :
, ,
食品値上げは70品目と4か月ぶりの低水準に減速したが、累計6290品目はなお高水準。前年比6割減の裏で、物流費73.6%・包装資材69.9%が示す構造的コスト圧力は解消していない。

一括転嫁への戦略転換と後回しにされる物流費

「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2026年5月(画像:帝国データバンク)
「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2026年5月(画像:帝国データバンク)

 5月の値上げが70品目にとどまり、累計で6290品目となった。こうした動きの裏側には、作り手側の苦しいやり方の変化が透けて見える。平均値上げ率が15%前後で止まったままなのは、改定の回数を減らす代わりに、一度の機会で将来の分まで上乗せしようとしているからだろう。

 買い手の財布が厳しくなるなか、何度も小出しに価格を変える余裕はもうない。結果として、まとめて上乗せせざるを得ない状況に追い込まれている。こうした流れは決して先行きが明るいことを示すものではない。むしろ、一度に大きな負担を強いるしかないほど、供給の仕組み全体が行き詰まっていることを物語っている。

 現場を悩ませる費用の内訳も、偏りが目立つ。原材料高が99.6%に達し、包装・資材が69.9%、物流費が73.6%と、どれも高い水準から動かない。なかでも、運ぶための費用の扱いが変わってきた点には注意を向けるべきだ。2025年に8割近かった物流費の影響が下がって見えるのは、中身の原材料や包材の費用が膨らみすぎて、運び賃を価格に乗せる後回しにされているからにほかならない。

 削ることも価格に乗せることも難しい重みとして、運び賃の負担は企業のなかに溜まっていく。追い打ちをかけるのが、中東の情勢に左右されるナフサの問題だ。包み紙や容器などの資材が足りなくなれば、小分けにして運ぶ手間が増えたり、届く時期が乱れたりする。そうなれば、輸送現場の効率は一段と落ち込んでしまう。費用の上昇だけでなく、モノがスムーズに回らなくなることへの懸念が強まっている。

全てのコメントを見る