「中東で何かが起きるたび、利益が消えていく」――運送会社の54%が運賃を上げられない現実、しわ寄せはどこまで広がるのか?
燃料高騰が物流を直撃するなか、運賃を十分に転嫁できている企業は9.6%にとどまり、9割超が負担を抱え込む。272社調査では約9割が存続に危機感を示した。問われているのはコスト増への対応ではなく、価格を決める力そのものだ。
燃料高騰と運賃未転嫁の深刻化

中東情勢にともなう燃料費高騰が、日本の物流現場を追い詰めている。CUBE-LINX(東京都日野市)が運送会社の経営者272人を対象に行った調査では、経営の根幹を揺るがす実態が判明した。
コスト増の運賃転嫁については、「全く転嫁できていない」が54.0%、「一部にとどまる」が36.4%に達し、9割超が負担を自社で抱え込む。「十分に転嫁できている」は9.6%にすぎず、物流業界が経済全体のコストアップを最後尾で引き受ける構図だ。取り組み状況も「動きたいが具体策がない」が46.3%で最多となり、「完了している」は4.8%と極めて低い。
転嫁を阻む理由は「荷主の理解不足や拒絶」(38.2%)が筆頭で、「他社との価格競争」(22.8%)、「根拠となるデータの不足」(14.1%)、「人員の欠如」(12.0%)といった課題が続く。この結果、今後3年間の事業継続に「非常に大きなリスクを感じている」経営者は54.0%、「ややリスクを感じる」は33.5%にのぼり、約9割が存続に危機感を抱く。
現場の防衛策は「配送ルートや頻度の見直し」(40.1%)や「エコドライブの徹底」(36.0%)といった運用改善が主だ。「省エネ車両への投資」(15.8%)や「商用EVの導入」(6.3%)といった設備更新は進まず、「特に対策を行っていない」とする回答も27.2%に上った。これは個別企業の努力を超えた、産業システムの不全を物語る。